二十二話:Fate〈運命〉
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何とか、スターライト・ブレイカーの直撃からすずかとアリサを守り抜き、安全地帯まで転送してもらったなのはとフェイト。
ユーノとアルフは二人が心置きなく戦うためにすずかとアリサの守護を行っている。
闇の書は翼をはためかせて二人のもとに寄って来る。
それに対し、二人は強い眼差しで睨み返す。
そんな態度に闇の書の意志は少しばかり悲しそうな表情を見せるのだった。
「闇の書さん、はやてちゃんを出してください。はやてちゃんとお話をしたら、きっと何かが変えられると思うんです」
「きっと……何かあるはずなんです。誰もが、あなたもはやても騎士達も幸せになれる道が」
切実な想いで矛を収めるように説得するなのはとフェイト。
しかし、闇の書の意志は首を横に振るばかりである。
なおも、食らいつこうとする二人だったが、突如として地面から生えてきた巨大な尾により吹き飛ばされてしまう。
「きゃっ!」
「うっ……これって、砂漠の世界にいた生物?」
眩む目をこすりながら相手の全体像を捉える。
フェイトの言うようにそこにいたのは巨大な虫のような竜のような生物。
かつて、ヴィータが蒐集の際に襲った砂漠の魔法生物だ。
闇の書の力はリンカーコアを蒐集した相手の魔法を使うだけでなく、実態を伴って召喚することも可能とする。
その事実に驚く二人向けて、さらに岩ばかりの世界にいた棘を背負った巨大な亀のような生物も召喚される。
「主は己の意志で眠りについておられる。余程のことがなければ目を覚ますことはない」
「余程のことって、何?」
「閉ざされた主の心に届くもの。尤も、そんなものは冷たい残酷な世界にはありはしない」
「そんなことないよ! 必ず見つけて見せる。世界は暖かくて優しいんだから!」
群がる巨大生物を自身の最大の長所である砲撃で蹴散らしながらなのはが叫ぶ。
絶望を打ち砕く星の光を宿す少女はまだ世界の残酷さを知らぬ。
いや、例え知ったとしても彼女は決して折れることなく希望を求め続けるだろう。
それは、まさしく物語の主人公。世界の残酷さを知り希望を失った男とは違う。
「そうだよ! 100回やってもダメでも、101回目は成功するかもしれない!」
「同じことの繰り返しだ。ゼロを何度もかけてもゼロにしかならないように」
「私達の行いは決して―――無駄じゃないッ!」
這いよる無数の触手たちを閃光の戦斧で斬り払いながらフェイトが前へ、前へと向かう。
何を犠牲にしても決して叶わぬ願いがあることを少女は未だに知らぬ。
否、心のどこかでは理解している。しかし、何の因果か、彼女の母親が決して最愛の娘の蘇生を諦めなかったように、彼女も諦めない。
それは、まさしく健気な物語のヒロイ
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