第一章
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チルプイ
ザビーネ=シャルメはよく姉のアイーダにこんなことを言っていた。
「私色々なチルプイ着たいの」
「色々な?」
「そうなの」
自分達テケ族の民族衣装であるその服をというのだ。見れば今のザビーネもアイーダも共にチルプイを着ている。
丈の長いくるぶしまでのスカートで前には黒と白で蛇が交差している模様が入っている。そしてその上に袖があるが手は通していない羊やチューリップが刺繍で入れられている肩に垂らさせる服を着ている。この肩に垂らしている服がチルプイだ。
「もっとね」
「駄目よ、それは」
姉は自分より幼い妹に言った、二人共まだ七歳と五歳であどけない顔をしている。
「色々な色のチルプイを着たいのよね」
「そうなの」
「それは出来ないのよ」
こう妹に言うのだった。
「ザビーネも私もね」
「どうしてなの?」
「チルプイは決まってるの」
「決まってるって?」
「年齢によって色が決まってるのよ」
「そうだったの」
「そうよ、私達の色も決まっていて」
子供の年齢のそれがというのだ。
「それを破ることは出来ないの」
「そうだったの」
「私達テケ族はね」
そのチルプイを着ている彼女達はというのだ。
「だから出来ないの」
「じゃあ私はこの色のチルプイしか着られないのね」
「そうなの、私もね」
ザビーネだけでなくアイーダもというのだ。
「誰もそうなのよ」
「じゃあ色々なチルプイは」
「そう、その年齢によって決まってるから」
「ううん、残念ね」
ザビーネは姉の言葉を聞いて頬を膨らませて不平の言葉を述べた。
「それは」
「そうよね、けれどそうした決まりだから」
「そうしないといけないのね」
「そうよ、わかったわね」
「それじゃあ」
ザビーネも納得するしかなかった、それでだった。
ザビーネは今はそのチルプイを着ることにした、だが。
ここで姉と共に町の自分達以外の人を見るとだ、確かにだ。
それぞれの色だった、年齢ごとに。黄色、黒、白の様々な色のチルプイがだ。
着られていた、それを見てだった。ザビーネはそのあどけない目でそのことを確認してこうしたことを言ったのだった。
「私もわかったわ」
「そうでしょ」
「うん、年齢によってね」
「着られる色は決まってるの」
「そういうものなのね」
「そしてね」
ここでだ、アイーダは妹にだ。微笑んでこう言った。その大きな黒い琥珀の様な澄んだ目を見ながらだ。
「結婚する時もね」
「チルプイを着るのよね」
「そうよ」
その通りという返事だった。
「その時もね」
「そうなのね」
「そしてその時のチルプイはね」
「どんな感じなの?」
「もうこれが凄いのよ」
妹に明るい笑顔で
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