巻ノ二十一 浜松での出会いその五
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「味噌は好きじゃ」
「やはりそうですか」
「だから今もですな」
「殿は味噌を楽しまれている」
「そうなのですな」
「そうなのじゃ、ではそろそろ鰻が来る」
幸村は微笑みそれの話もした。
「楽しもうぞ」
「ですな、真打も」
「それもですな」
「楽しみましょうぞ」
「その鰻を」
「鰻も好きじゃ」
幸村は楽しげに笑って言った。
「特に脂が乗ったのがな」
「ですな、では」
「これからはですな」
「鰻をですな」
「いよいよ」
「食べましょうぞ」
「ではな」
幸村も応えてだ、そしてだった。
一行のところに鰻が来た、鰻の蒲焼に鰻丼にだ。それに肝の吸いものだった。幸村はそうしたもにを見て言った。
「美味そうじゃ」
「もう見ているだけで」
「涎が出そうです」
「蒲焼も丼も」
「肝の吸いものも」
そうしたもの全部がというのだ。
「どれも美味そうです」
「待ったかいがありました」
「待っている間も飲んで食ってでしたが」
「本番もですな」
「楽しみですな」
「では食しよう」
幸村は箸を手にしてだった、そのうえで。
家臣達と共にその鰻を食べはじめた、その味を一口味わい。
まずは幸村がだ、こう言ったのだったのだった。
「ふむ、これはな」
「美味いですな」
「これは絶品です」
「いや、噂通り」
「むしろ噂以上ですな」
「これだけ美味い鰻は滅多にない」
これが幸村の言葉だった、その鰻を実際に食べて。
「見事じゃ、飯もな」
「ですな、いい炊き具合です」
「蒲焼によく合っています」
「たれもよい」
「幾らでも食べられます」
「そうじゃな、吸いものもよい」
肝のそれもというのだ。
「これだけ食えば精もつく」
「鰻は、ですな」
「精もつきます」
「ただ美味いだけでなく」
「そのことでもいいですな」
「全くじゃ、これを食して」
そうしてというのだ。
「駿河まで行こうぞ」
「はい、それでは」
「この浜松で一泊してです」
「そして、ですな」
「駿河にですな」
「行こうぞ」
今や家康の本拠になっているその国にというのだ。
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