14話 ソロモンの悪夢 UC0080 1.1
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ズルがその訪問者を確認した。そしてその訪問者を招き入れた。
「ゼナよ。こちらはアクシズ先遣隊指令ユーリー少将だ。アクシズ統括官のマハラジャ・カーンの腹心でもある。この者がお前を安全な場所へ案内する」
すると、ユーリーがゼナの前に立ち自己紹介をした。
「ユーリー・ハスラーと申します。ゼナ様を無事アクシズまでご案内致します」
ゼナは不満に思った。いっその事夫も一緒に行くことができないかと訴えたがドズルが拒んだ。
「ゼナよ。オレはザビ家の男だ。戦争の発端になったものだ。それが逃げたとなっては兵士達は戦えない。願わくばお前たちは地球のガルマに委ねたかったが、ガルマも地球にほぼ閉じ込められた形であり、よからぬ噂も耳にする」
ドズルは可愛がっていた弟について複雑な心境だった。
「ガルマは・・・実にいい弟だ。あの清廉、実直さはオレには到底持ちえないものだ。何事も正義を貫こうとする志。それが兄ギレンに不信感を与えていた。地球での統治が仇になった」
ドズルは柔和な顔でミネバの頬に手を触れた。
「兄貴は地球に未練がなく、コロニー落としなど行った。ガルマは地球での統治を実施し、地球に関わりを持った。兄貴とは違ったジオンの思想を導こうと思っているらしい。兄貴は非情な男だ。自分とは少しでも違う思想を持つ者、つまり地球に毒された弟を認めはしないだろう」
ゼナはガルマのことを知っていた。確かに彼は優しい男だ。彼の優しさが他の兄妹達との温度差になっている。そのことにドズルは危惧していた。
「そしてガルマは地球に独自の組織を興そうとしている。そこでスペースノイドの重要さを世間に訴えるために。ガルマは本国を・・・ザビ家を裏切ろうとしている」
「しかし、ガルマ様は先日貴方との通信で自ら派閥を興してジオンを改革するとおっしゃったじゃないですか。それに貴方への協力を要請していた」
「・・・だが、オレは断った・・・オレは今のザビ家の、ジオンの将軍だ。ジオンはこの戦争で一枚岩となり、連邦に打ち勝たねばならん。内紛など目先の問題が片付いてからすれば良い。しかしガルマはどうやら理想に酔っているようだ。そんな状態で兄貴やキシリアに勝てる見込みなど全く感じられん」
「そんな・・・だから貴方はガルマ様を見捨てようとするのですか」
「そうだ。戦争は非情だ。大事な局面で見誤る将に軍を率いる資格はない。ガルマはそれを失っていた」
ドズルは落胆した面持ちでガルマへの想いをゼナに伝えていた。
ドズルはミネバの寝顔に見入り苦笑していた。
「オレにも子供を持つ資格があるとは思わなかった。こうして妻、娘と戦場でも安らぎのひと時を持つことができる。このオレはつくづく果報者よ」
「・・・いいえ、このゼナこそ幸せです。貴方のお
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