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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件
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恐らくキリトも同意見だろう。
確かに、その男を殺したのは、この槍をオーダーした未知のレッドプレイヤーであって、鍛冶屋グリムロックではないはずだ。
自分が造った、イコール作成者の《銘》が記録されている武器で誰かを殺すというのは、現実世界で凶器の包丁に名前を書いてから人を刺すのに等しい。そんなアホがどこにいる。
しかしその一方、ある程度の知識と経験がある職人プレイヤーなら、この武器が何のために設計されたものなのか推察できるはずだ。
《貫通継続ダメージ》は、基本的にモンスター相手には効果が薄い。
アルゴリズムによって動くMobは、恐怖を知らないからだ。貫通武器を突き刺されても、ブレイクポイントが発生し次第、むんずと掴んで引っこ抜いてしまう。
当然、その後親切に武器を返してくれるわけもなく、遠く離れた場所にポーイと捨てられたそれは戦闘が終わるまで回収できない。
ゆえに、この槍は対人使用を目的として作成されたものだということになる。大抵の鍛冶屋ならば全員、仕様を告げられた時点で依頼を断るはずだ。
なのにグリムロックは槍を鍛えた。
よもや殺人者本人ということはあるまいが──鑑定すれば容易く名前が割れてしまうので──しかし、倫理観のかなり薄い人物か、あるいは密かにレッドギルドに属しているということすら有り得る。
「……少なくとも、話を聞くのに、タダってわけにはいかないカンジだな。もし情報料を要求されたら………」
キリトがそう呟くと、エギルはぶんぶん首を横に振り、アスナはじろっとキリトに一瞥くれた。
「割り勘でいきましょ」
「解ったよ、乗り掛かった船だ」
「うん、それじゃ、僕はこれで……」
「「「ちょっと待てぇ!!」」」
男二人のユニゾンした声が、カッコつけて部屋を出ていこうとする少年の足を止める。
ついでにその肩をむんずと掴む、華奢な手。
「……どこに行こうとしてるのかな?」
恐らくこの世でこれ以上美しく、そして恐ろしい笑顔もないだろう。
「い、いや〜、ちょっと用事を思い出し…」
「いろ」
「…………………ハイ」
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