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歌集「春雪花」
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 待ち侘びし

  恋に藻掻きし

   霜月の

 冷え冷えし雨に

   追われ去りなむ



 どんなに待とうと…来るはずもない彼を待ち、彼への想いに悩み苦しむ毎日…。

 しかし、時は無情に駆けてゆき、もう十一月も終わろうとしている…。

 外は相変わらず寒々とし、冷たい雨が降っている…。

 もしや…この冷たい雨が、この十一月を急かす様に立ち去らせたのだな…。だから…こんなにも早く感じるのだろう…。

 あぁ、彼に…次はいつ会えるのだろう…?正月には顔を見せてくれるのだろうか…?

 そんな叶いそうもない望みを…ただ、思うだけ…。



 打ち付ける

   雨ぞ寒雷

    呼びにける

 冬ぞ来りし

     君の居ぬ里



 地を叩き付ける雨…不安を煽る様に降り注いでいる…。

 そんな雨が呼んだのか、天からは轟く様な雷が鳴り響き、あぁ…本格的な冬になるのだと思った…。

 彼の居ない冬…これで彼が居なくなってからの全ての四季を過ごすことになる…。

 溜め息ばかり…それは白く濁り、虚しく今日も空を見上げた…。




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