第二章
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「それはまた」
「怖い話だろ」
「はい、だからですね」
「嫁さんは大事にしろ」
オムールの心からの言葉だ。
「結婚する前からな」
「そうしないとですね」
「本当にそうしたことになるからな」
「別れると言われたと言われてですか」
「離婚させられてだ」
「とんでもない慰謝料を支払わさせられるのですね」
「法学者の人次第でもな」
それでもというのだ。
「そうした話があるからな」
「はい、それじゃあ」
「土産も忘れるな」
オムールはくれぐれもという言葉でだ、カザルに言った。そうした話をしたうえで次の街に入った。そのうえでだった。
商売をはじめた、バザーの中に入ってだ。
オムールは商才があり品を彼が儲かる値でどんどん売っていく、それを見てだ。
カザルは唸ってだ、彼の師匠に言った。
「やっぱりお師匠さんは凄いですね」
「そうか?」
「はい、ものをいい値でどんどん売っていきますね」
「ははは、これ位はな」
「普通ですか」
「商才があると言ってもな」
それでもというのだ。
「俺はまだ自分の店を持っていないからな」
「ずっと行商人だからですか」
「夢は自分の建物を持ってな」
「そこにお店を開いてですね」
「大きい店にすることだ」
その開いた店をというのだ。
「それが夢だからな」
「だからですか」
「ああ、ずっとこうしたしがない行商人なんてな」
それこそというのだ。
「才能があったらもう店を開いてるさ」
「そうですかね」
「そうさ、だからな」
「お師匠さんはですか」
「そんなものはないさ」
商才はというのだ。
「とてもな」
「ううん、多分ですね」
ここでだ、カザルはオムール自身のことを考えてこう言った。
「お師匠さんは博打が好きですから」
「それでか」
「儲かっていてもです」
それでもというのだ。
「お金が貯まらないんですよ」
「おいおい、そう言うか」
「やっぱり博打はですよ」
今は昼が過ぎて少しけだるい時間だ、それで客足もなくだ。二人はバザーの中の晴れた空の下商品に囲まれつつ話をしている。
「お金を消していくものですよ」
「楽しんだがな」
「楽しくてもですよ」
「博打はか」
「していたらお金が貯まりません」
二人共イスラムの戒律は守っているので酒は飲まないのでこちらでの散財はない、しかしオムール博打をするからなのだ。
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