第五十二話 戦火を交えて
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勢いが強かったから呆然としかけたけど、すぐに私はアベルに呼びかけた。
「アベル!相殺するためにバギクロスを!」
「わかった、ミレイ!」
バギクロスに向き合って、魔力に意識を集中させた。
さっきで大分使ってしまったけど、まだ十分魔法は使える。
「「バギクロス!」」
アベルと私のバギクロスとジャミのバギクロスがぶつかり合った。
流石に二つのバギクロスの直撃を受けて相殺できない訳がない。
そんな私の願いはあっさりと叩き潰された。
ジャミのバギクロスは最初こそ私達のバギクロスと拮抗していたけど、ジャミが少し魔力を込めた瞬間、私達のバギクロスは破壊された。
バギクロス同士の激突は効果がなかった訳ではないらしく、さっきよりも威力が弱っていたように見えたけど、それでも十分強かった事には変わりなかった。
「ラリホーマ」
ジャミのその言葉が聞こえた瞬間気がついたら私は床に寝ていて、意識が戻ってすぐ、体中に激痛が走っているのに気がついた。
体が動かなかったから自分の体の様子がどうなっているのかはわからなかったけど、辺りを何とか見渡してみると、皆血まみれで床に倒れていた。
「無様だな、人間と人間に仲間する愚かな魔物達よ!
さぁ、これで終わりだ!」
ジャミは私達を嘲笑うと、輝く息を吐き出した。
迫り来る氷の刃と吹雪を見ながら私はぼんやりと思っていた。
ごめんねビアンカ、ごめんね皆、ごめんねドリス、ごめんねデボラ、ごめんねヘンリー、ごめんねマイ、ごめんねレナ、ごめんなさい、お父さん、お母さんーー。
「やめなさい!ジャミ!」
その時、ビアンカが両手を広げながら私達を庇うようにジャミの前に立ちふさがった。
「ビ……アン……カ?早……く逃げ……て」
ここでビアンカまで死んじゃったら何もならないのに。
「あ……れ……?」
私はいつまで経っても輝く息がこないのを不思議に思った。
その答えは’すぐにわかった。
ビアンカの体から放たれている青い光が輝く息をかき消したんだ。いや、消したのは輝く息だけじゃない。
「何故だ?何故ゲマ様から授かった俺のバリアが剥がされたのだ?お前は一体?」
ビアンカの青い光はジャミのバリアも消してくれた。
そして、私達の傷も魔力も回復してくれたんだ。
「皆、また戦えるわ!勝って、グランバニアに、戻……る……わよ……」
ビアンカはそう言い残して、また気を失った。
「ビアンカ、ありがとう!」
倒れかけたビアンカの体を支えながら私は言った。
「さぁ、行くぞ!ジャミ!」
アベルがメタルキングの剣を構えて獰猛に吠えた。
「くそっ。バリアだけではなくゲマ様の力
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