暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
愛し愛され愛し会う
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
起こった現象を分かりやすく言おう。

もともと、レンのフラクトライトには二つの存在が寄生していた。

一匹は、五代目《災禍の鎧》討伐時に、振り絞られた最後の悪足掻き――――最期の攻撃によって寄生した、《災禍》の攻撃力の欠片たる《狂怒》。

一匹はALO。あの世界樹の天辺にて強引に下した、《災禍》の精神感応の欠片たる《狂楽》。

そこに第三回バレット・オブ・バレッツ本大会において、若干間接的ではあったが、新たな一欠片……いや、中心であり元凶といえる《核》を埋め込まれた。それによってレンは新生《災禍の鎧》として半覚醒し、自意識が削られていった。

だが、《核》の中でいまだ残っていた、初代《災禍の鎧》――――つまり《製作者》の協力もあり、どうにかその力を振るえるまで至った。

ではここで問題。

《狂怒》と《狂楽》は、どこに行った?

別に両者はフェイバルに吸い取られたとか、そんなことはない。なぜならそんなことをすれば、《鎧》の復活が行えなくなり、彼女の目的には相反する。

つまり、《鬼》達は今も変わらず少年の中に巣くっているのである。

交信ができないのは憑りついた《鎧》の影響で、互いを繋いでいた《部屋》が閉ざされたかららしい。

だが、それをこじ開けられさえすれば。

突破口が見える。

威力拡張、並びに射程拡張では最高ランクの、狂怒の鬼法《天墜》。

精神感応系心意で、人ひとりの精神をまるまる全て完全支配できる、狂楽の呪法《傀儡》

これをもってしても、三つの欠片の最後の一つ、防護の《狂哀》を携えたフェイバルを圧倒しうるには役不足だ。

だが。

隙を作り、《核》の中にいまだ存在する初代をフェイバルに『送り込む』くらいならできる。

そう、少年がやったのは、つまりはそんなこと。

勇者を捜して泣くお姫様に向かって、踏みとどまっていた主人公の背中を押した。

それだけ。

それだけで、そんなこと。

その時だけしか登場しないような、ちっぽけな登場人物(サブキャラクター)

だが、ゆえに。

ちっぽけな少年は言う。

それが今回の自分に、自分の役回りに、もっとも相応しいセリフだと思って。

行ってこい、と。










そこは、ドロドロと濁った闇があちこちでわだかまる場所だった。

床、という概念があるのかどうか不明だが、とりあえず地に着いた脚はものの数秒も経たずにずぶずぶと嵌まっていき、不快感と底の見えない不気味さを与えた。

少年――――初代は、そんな場所に降り立つ。

気を抜くとすぐに沈んでいきそうになる足を動かし、最初から知っていたように確固たる足取りで動き出した。

そう。

この風景も、この感触も
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ