第3章 リーザス陥落
第73話 ホッホ峡の決戦U
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人間同士の戦に介入する人外。……魔人。
それがどう言う意味を成すのか、よく理解しているのはヘルマン側だろう。なぜなら、リーザスを陥落せしめた一手が魔人の力だったのだから。僅か一日、いや 実質、1時間足らずの間に、リーザス城を占拠し、陥落させたのだから。
そんな凶悪極まりない魔人一派が、今回の決戦に介入してくる。……いつかは魔人が介入してくるだろう、と思っていたリーザス側だが、それでも 一夜の襲撃で大ダメージを負ってしまったのは記憶に新しい故に、悪夢でしかない。
魔人、そして魔人の部隊。それは そんな悪夢の象徴……なのだが。
「むむむ!!」
「ステイっ!! 私がエネミーをキルしてきます!」
「負けた癖に!!」
「うぐっ……!」
まだ、言い争っているのは その魔人の配下、使徒達だった。
傍から見れば、ただの子供の言い争いだ……。もしも リーザス側が彼女達を見たら、呆けてしまうだろう事は想像しやすい。
見かねたアイゼルは、少しばかりため息を吐いた。この戦場で間違いなく あの時の男、いや 存在がいる筈だと言う事を彼は判っているから。だからこそ。
「……構いませんよ。2人とも。……存分に、したいようになさい。……ただ 彼らの事は甘く見ない様にお願いします」
使徒達に命じて 気を伺う方を選んだ。
囮、と言えば 聞こえが悪いだろう。……だが、これも最善だといえる。使徒の力は魔人には及ばなくとも、人間からしたら、十分すぎる程驚異だからだ。そんな使徒が集まり、暴れたとすれば、間違いなく大きな打撃を受ける。……打撃を受ければ、出ざるを得ないだろうから。
「は、はいっ……!」
「ん、ありがとアイゼル様。じゃ、行ってくるよーーー!」
使徒のサファイアとガーネットは、アイゼルに頭を下げると同時に、一目散に敵へと向かっていった。……例え、アイゼルが本当の事を話し、囮の様に扱ったとしても、2人は意にも返さないだろう。……アイゼルより生まれし使徒故に、主人の事は絶対であり、心酔しているのだから。
「……トパーズ。貴方は良いのですか? 行かなくても」
「いえ……、その 私はアイゼル様と一緒が一番いいですから……」
トパーズだけは、この場に残った。三姉妹の中でも 頭1つ抜ける程の狡猾な少女故に、アイゼルを独り占め、と考えていると言う事は、勿論直ぐに判った。だが、アイゼルは 意に介するでもなく笑みを浮かべていた。
ただ、考えているのは一点のみ。……集中している理由はその一点のみ。
――……この戦場で相まみえるであろう、あの男。
魔人でさえ、停止させる。いや、時空そのものを停止させる程の力を持つ者。
故に、その存在は……、とあ
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