○○四 寂しがり屋な痛い子
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かしそんな天龍の言動よりも見た目に興味を持った提督。
電は空気を読んだらしく、濡れた顔を腕で拭きながら提督から離れる。
と同時に提督は天龍に近づき、天龍の周りをぐるぐると回りながら、舐めるように見た。目線が気持ち悪かったのか、天龍は身構える。
「な、なんだよ…」
「いや… 軽巡になると成長するのかな、と…」
こいつは何を言っているんだ、とでも言いたげな表情で提督を睨みつける。もちろん、涙目で。
と、ここで正気を取り戻した提督が、天龍が涙目ということに気づいた。
電を泣かせて、この子まで泣かせるのか? と困惑している提督。そもそも何故、この子は泣いているのか、ふと、天龍の後ろに掛けてあった時計が目に入った。
そこで提督は何かに気づき、電に質問をした。
「初めての建造から何時間経ってる?」
「ざっと二時間半くらいなのです」
なるほど、そりゃ泣くよな… と自分の行動を振り返ってため息をついた。
「ごめんな、天龍… 寂しかったんだよな…」
「……い、いやちげぇし、寂しくなんてなかったし! 待たされてムカついてるだけだし!」
「じゃあなんで泣いてるのです?」
復活した電がニコニコしながら、天龍に向けて痛い言葉を放つ。すると天龍は、雑に目を拭って慌てる。
「待ってるときに目にゴミが入ったんだよ! だから、これは目薬だ!」
「電よ、艦娘は最初から目薬を常備するのか?」
「しないのです。しかも天龍さんに限ってはなおさら」
両手に拳を作り、プルプルと震えながら歯を食い縛りだした天龍が、
「もぉ… お前ら… 大っ嫌いだぁぁぁぁぁ!!」
と走って司令室を出て行った。
「あ〜あ、嫌われちゃったのです。それはそうと良かったですね、"あんなこと"言っても私は秘書なのでイヤでも嫌いになったりしませんし」
「それはフォローなのだろうか…」
「フォローのつもりなのです」
イタズラに笑みを浮かべて電はそう言った。
全く、回復の早いやつだ… だが、これからは気をつけなければいけないな。元の世界に帰るにしろ、ここに移住し続けるにしろ、この子達を傷つける訳にはいかない。
そう、提督は心の中で決めるのであった。
これから、どうなるのやら…
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