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『珍』守府へ、ようこそ
○○四 寂しがり屋な痛い子
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とで分かれているのだろう。全部で三棟あるが、残りの一棟は何に使うのだろうか?
そこで提督は、あることを考えてしまった。恐らく提督は考えたくなかったことなのだろう、顔が引きつっている。

まさか…

「解体…?」

ぼそりと、小さな声でそう呟いてしまった。隣で、褒められて喜んでいた電がびくりと反応してゆっくりと提督を見た。
その提督を見る電の目は… 言うまでもないだろう。強張っていた。





□□□




「フフッ、怖いか?」

工廠のうち、一番右側にある建物の、建造にあたる建物の中、せっせこ働く数人の妖精さん達に囲まれている一人の少女がそう呟いた。

その少女は、妖精さんに渡された青と黒の丸い眼帯を左目に当てて不敵な笑みを見せた。

「フフ、ハハハ」

眼帯の少女は声を出し、再び不敵な笑みを見せた。そんな中、近くに居た何人もの妖精さんはつぶらな瞳で精一杯できる鬱陶しそうな目を見せていた。




■■■




時は三十分ほど過ぎ、開発を終え、今は特にすることがない提督と電は、一度司令室に戻って休息を取っていた。

出会って早々、解体、だなんて言葉を放ってしまった故、提督と電には少し…いやもしかしたらかなり大きな隙間が出来ていた。
何せあの後から一言も会話を交わしていない。

電が見せたあの目と表情に気づかなかった提督は、呑気に開発をしに行こうとだけ言って隣の棟でことを済ませ、他所を向いて悲しそうな表情を見せていた電に触れず、司令室に戻ったのだ。

電も電で、秘書艦故に、私情はできる限り押し殺し、何も言わずに提督に着いて行ったのだ。

「電、俺らは何と戦うんだ?」

椅子に座って天井を見ながらそう問いかけたが、電は黙っていた。今まで質問をしたら、真っ先に返事をして答えを返してきた秘書艦が何も返事をしないことに疑問を感じて、どうしたのだろうか、と電を見た。

司令室の出口の手前で下を向いている電は、板を力強く抱えて立っていた。

「電? どうした?」

いまだ電の特徴を掴んでいない、艦娘という女の子の特徴を掴んでいない提督は、心配をして電に近づいた。

よく見ると電は、身体を震わせており、息を荒くしている。

「い、電…?」

ポタリ、ポタリ、と音を発てて、木の床に水玉の染みを作っている電に最もな異変を感じた提督。
この子は今、泣いている。でも理由がわからない。

「何処か痛いのか!? 具合悪いのか!?」

次第に焦る提督。焦ると共に床の染みは増える。
そこに、小さな、消え入りそうな声が提督の耳を伝った。

痛い…です…
心が、痛い……なの、です…




そこで提督はやっと気づいた。自分が犯した罪に。

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