○○四 寂しがり屋な痛い子
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一時間という結構長い時間をその場で何もせず待っているのもつまらない、秘書艦と駄弁っているのもまた然り。だがしかし今までの流れからして、初デートのカップル並みにぎこちない気不味い空気を吸っていた提督はその判断を捨て、次のステップに進むことにした。
「次は何をしたらいいのかな?」
観察板というのか、紙が貼られた板を両手で抱えていた電にそう聞くも、電は返事をしてその板を確認し始めた。
「次は… 『はじめての開発』なのです」
「開発? 何を?」
「えっと、その、武器?」
少しの間、頭を回転させた提督は思った。
見た目が女の子なだけで、つまりは戦う… 武器を持って。その戦う為の武器を開発するってことか。
「そうだ。ちょっとその板貸してもらってもいいかな?」
提督がそう言うと、電は少々困った顔をして、恐る恐る板を提督に差し出した。
「心配しないで、秘書の仕事を取ったりはしないから」
電が何故困った顔をしたのかを理解した提督がそう言いながら差し出された板を手に取った。隣で電が笑顔になっているなか、提督は板に貼り付いた紙を凝視する。
先ほどチェックを入れ忘れたはじめての建造にチェックを付け、次の開発にもチェックを入れる。
今後することになるだろう任務に次々チェックを入れるも、途中でチェックを入れることが出来なくなった。あれれ、と顎に手を当てる提督を見て、電が言った。
「任務チェックは一度に五つまでなのです」
「あ、そうなの。教えてくれてありがとう」
「これも電の仕事の一つなのです!」
そうかそうか、と電の頭を撫で回す提督。嬉しそうな恥ずかしそうな微妙な表情を見せた電は、板を回収して、身だしなみを整えた。
板を両手で抱えてバランスよく立つのが電の定ポーズらしい。
板に限っては、木で出来た板にただの紙で原始的だったが、そのチェックがまた妙にハイテクというシステム。
「ところで、その開発は何処でするの?」
小さい身体を大きく使って、目の前の工廠から隣の建物まで全てを指して電は言った。
「ここ全部工廠なのです。なので、全部の建物で開発出来るのです!」
「開発もやっぱり妖精さんに手伝って貰うのかな?」
「もちろんなのです。妖精さんは働き者ですから」
妖精さんは一体何者なのか、と考えながら、そうかそうかと相槌を入れる提督は続けて、
「まぁ、電も働き者のいい子だけどね」
こう言うと、電は、はわっ? と驚いた声を出したあと、目一杯目を閉じて首を振って否定した。
本当にいい子だな、と心の中で思い、提督は電を見て微笑んだ後、周りを見渡して見た。
先ほど建造を頼んだ建物… 工廠の隣に、二棟ほどある建物。恐らくこれらも工廠。
建造、開発
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