第一章
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ドーバ
パプワニューギニアというと熱帯の部族国家というイメージがある。
しかし近年は都市化、近代化されている部分もあってだ。
それでだ、首都ポートモレスビーもだ。
都市として存在しており近代的な生活が営まれている。それでこの都市のある高校に通うキラ=ナブラもこう言った。
「この国を部族国家という言う奴はね」
「間違ってるっていうんだ」
父のナグラ=ナバホが応えた。
「そう言うんだな」
「だってそうじゃない」
その黒い顔で言うのだった、パプワニューギニア人としてよくある肌の色だ。顔立ちもそうでアフリカ系の黒ではなくそちらの黒だ。
その黒い顔でだ、自分と同じ顔の色の父に言うのだ。
「議会もあるし学校もあって服もね」
「オーストラリアやニュージーランドな」
「変わらないじゃない」
これが彼の考えだった。
「全くね」
「そうだな」
父もこう言う。
「それは御前の言う通りだ」
「それでよくこっちに来る観光客の人が言うけれど」
起こった顔での言葉だった。
「もうパプワニューギニアもね」
「部族国家じゃないな」
「未開でもないよ」
キラはこうも言った。
「しっかりとしただよ」
「近代国家か」
「そうだよ、最早ね」
「つまりだ」
ここまで聞いてだ、ナブラはこう言ったのだった。
「御前は部族国家が悪いっていうんだな」
「遅れてるからね」
これが息子の返事だった。
「そしてね未開もね」
「そっちもだな」
「悪いじゃない」
「遅れているからか」
「どの国も近代化しているんだ」
周りの国のこともだ、キラは言った。
「それならだよ」
「我が国もか」
「近代化しているし」
「もう部族とかはか」
「どんどんそうした古いものは消していって」
そして、というのだ。
「新しくならないとね」
「駄目か」
「もうそうじゃなくなっているし」
キラは自説をだ、父にさらに述べていった。
「これからもっとだよ」
「近代化していってか」
「オーストラリアやニュージーランドみたいになるんだ」
絶対にという言葉だった。
「そうならないといけないから」
「だからか」
「そんなものは消していかないとね」
「本当にそう思うんだな」
「僕だけじゃないよ」
近代化こそ善であり部族、未開は悪という考えはというのだ。
「学校でも皆そうだよ」
「そう教えてるのか?」
「教えてるんじゃなくて自然にだよ」
「皆そう言ってるんか」
「近代化こそがだよ」
正義だというのだ。
「もっともっと科学的にもならないと」
「そうか」
「ポートモレスビーだってこんなのだし」
これからのパプワニューギニアはというのだ。
「他の地域
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