この手を伸ばして
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以外の時間の流れに観測された事実は、なかったことにできない』
アリアは、巻き戻されていくわずかな時間の中で、もう一人の自分であるロザリアをなんらかの方法で観測して、自分で掬い上げてた。
アリアに戻った瞬間の、あの涙は。
怪我の時間を戻せば消える血と同じで、レゾネクトに都合が良いアリアへ戻された瞬間にある筈がなかったあの涙は、アイツの物だった!
アイツは、消えてない!!
「ロザリアぁあああああ────っ!!」
…………気付いた。
俺の声に気付いて、俺を見た。
なら、逃がさない。
お前を見つけた。
このバカバカしい、くだらない世界の中で、お前を見つけたんだ。
二度と離すもんか!
誰にも、何にも、邪魔はさせない!!
「…………っ!」
強ばった表情の子供マリアが、俺から溢れた虹色の羽根に触れて固まる。
同時に、世界が色と音を失う。
俺以外の、すべての時間が停止した。
「動け、マリア!」
子供マリアの肩を叩いて、子供マリアとその周りの時間を進める。
突然の変化に驚いてるが、構ってるヒマは無い!
「目視できてんなら行けるだろ!? 俺をロザリアの前に跳ばせ! 早く!」
「え……、ええ!」
跳躍するには遠すぎるし、俺は浮遊できない。
子供マリアをせっつき、ロザリアの目の前へ空間移動させた瞬間。
俺の声に反応してうつむいたロザリアの首へ、両腕を伸ばして絡める。
そして。
「っな!? ベゼドラ!?」
ロザリアの時間を動かした途端、揃って落下しそうになるが。
慌てたロザリアが翼をバタバタと動かし、なんとか姿勢を立て直した。
「ちょっ、重い!」
この、女の子供らしい高めな声。この、刺々しく雑な口調。
クロスツェルの体を通してずっと感じてた、存在の形と熱。
やっとだ。
やっと、届いた。
「ロザリア」
ようやく捕まえた細い肩を、潰すほど強く抱きしめ。
求め続けた感触を確かめる。
柔らかで温かく、陽光と風と花の匂いがする。
「おい!?」
「……こんっ、の……」
苦しそうに呻くロザリアの顔を覗いて、深く深く息を吸い。
「バ……ッカ、娘がああ────っ!!」
腹の底から張り上げた声で、ロザリアの耳を突き刺した。
空気の振動が無いせいか、周りには大きく響かない。
「…………はあああああ!?」
しかめっ面で俺を睨み。
いきなりなんだと非難する。
「おまっ」
「お前ごとき臆病者が俺らを護るなんざ、五万年早ぇわ、ボケ! 大人しく俺に毎日抱かれてろ、バカロザリア!!」
「バ……って、なんだそりゃ!? ここに来てま
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