この手を伸ばして
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てる子供マリアが焦りを露わにした。今にも跳びそうな腕を押さえて
「やめろぉおおおおぉぉおおッッ!!」
……微かに聴こえた今の声……。
心臓を貫かれる寸前のフィレスを掻っ攫った人影が、疾風よりも早く空中を翔んで、レゾネクトから距離を置いた場所に留まる。
フィレスより小さな体。白い肌を覆う真っ白な長衣。マリアと同じ白金の長い髪。フィレスを庇う背中に、純白の翼。
……俺達が狙ってたのはアリアだ。俺を封印した、美しくも忌々しい女神。
だが、あれはアリアじゃない。
やっぱり……アリアは自分でロザリアを掬い上げてた。
アリアに戻った瞬間の、あの涙は……怪我の時間を戻せば消える血と同じで、あの場面で有る筈がなかったあの涙は、アイツの物だった!
アイツは消えてない!!
「ロザリアぁああーーーッ!!」
……気付いた。
俺の声に気付いて、俺を見た。
なら、逃がさない。
お前を見付けた。この莫迦莫迦しい、下らない世界の中で、お前を見付けたんだ。
二度と離すもんか!
誰にも何にも邪魔させない!!
「っ!」
表情を強張らせた子供マリアが、俺から溢れた虹色の羽根に触れて停止する。同時に、世界が色と音を失う。総ての時間がピタリと止まった。
「動け、マリア!」
肩を叩いて子供マリアの時間を進める。突然の変化に驚いてるが、構ってる暇は無ぇ!
「俺をロザリアの前に跳ばせ! 早く!」
「え、えぇ!」
俺は浮けない。
景色が切り替わった瞬間に両腕を伸ばし、俯いたロザリアの頭を抱えるように抱き締める。
そして
「……っな、ベゼドラ!?」
ロザリアの時間を動かした途端、揃って落ちそうになるが、慌てたロザリアの翼がなんとか防ぐ。
「ちょ、重い!」
この声、この口調。クロスツェルの器を通してずっと感じてた、体と熱。
やっとだ。
やっと、届いた。
「ロザリア」
漸く捕まえた細い肩を潰すほど強く抱き締め、求め続けた感触を確かめる。
柔らかで温かく、風と花の匂いがする。
「おぃ……っ」
「……この……」
苦しそうに呻くロザリアの顔を覗いて、深く息を吸い
「莫……ッ迦娘がああーッ!!」
腹の底から張り上げた声がロザリアの耳を突き刺した。
空気の振動が無い所為か、周りには大きく響かない。
「……はぁ!?」
しかめっ面で俺を睨み、いきなり何だと非難する。
「おま……」
「お前ごときが俺を護るなんざ、五万年早ぇわボケ! 大人しく俺に抱かれてろ、バカロザリア!!」
「バ……って、なんだそりゃ!? 此処に来てまだそんな事言うのか、この天下無双級変態頂点莫迦は!! 全然反省してねぇどころか丸っきり聞いてなかっただろ!? 私はお前らなん
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