この手を伸ばして
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「ヤだ!」
とだけ、答えてみる。
「……もう、本当に……っ、ベゼドラのバカーッ!」
リースリンデの叫びを残して、三精霊の変身姿が上空に移動する。
一瞬言葉を失って呆然とする様は、なかなか面白かったぞ。
せいぜい、ガンバレ。
「マリアがティーを巻き込んだのね。確かに利用しようとは思ってたけど、力をほとんど失くしたと分かっていたのに……。まさか、あんな状態の彼を連れて行くなんて」
額に手を当てて、苦々しげに唇を噛む子供マリア。
顔色が曇りまくってるが。
多分、連れてったんじゃなくて、ついてったんだろうな。
でなきゃ、日記の末尾に『これで良い』とは書かんだろ。
知らんけど。
「良かったな。一人じゃなくて」
「そっ────! …………え?」
怒りかけの顔を勢いよく上げた子供マリアが、間を置いて目を瞬く。
「もしかして今、慰めてくれたの?」
「寝言は寝てから言え」
「貴方、本当は人間?」
「ざけんな。殺すぞ」
何が面白いのか知らんが、ニヤニヤするな気持ち悪ぃ……
って!
「跳べ、マリア!」
「手を!」
子供マリアの手を掴み、同じ森の少し離れた場所へ、空間を移動する。
直後、耳にも痛い爆発音と衝撃波が、俺の背中に襲いかかってきた。
吹っ飛びはしなかったが、飛んできた石だの砂だの枝だのが微妙に痛ぇ。
精霊共め。
フィレスだけ護りゃ良いってもんじゃねーだろ!
ちゃんと、ティーの防御もしろよ!
迷惑な!
「大丈夫?」
爆風から護ってやった子供マリアが、腕の中で俺を見上げる。
「死んだように見えるか?」
「社交辞令よ」
「そりゃどーも !」
映像の中でフィレス達が止まってる。
あの間抜け、首を押さえられやがっ……
……なんだ?
レゾネクトに妙な違和感が。
「フィレス様!」
「! 動くなマリ」
同じ映像を見てる子供マリアが、焦りを露わにした。
今にも跳びそうな腕を押さえて
「やめろぉおおおおぉぉおお────!!」
……微かに聴こえた、今の声……。
映像の中、心臓を貫かれる寸前のフィレスを横からかっさらった人影が、疾風よりも早く空中を翔んで、レゾネクトから距離を置いた場所に留まる。
フィレスより小さな体。
白い肌を覆う真っ白な長衣。
マリアと同じ、白金色の長い髪。
フィレスを庇う背中に、純白の翼。
俺達が狙ってたのは、アリアだ。
俺を数千年もの封印に捕らえやがった、美しくも忌々しい女神。
だが、あれは。
髪はあの頃に比べるとだいぶ長いが、あれはアリアじゃない。
やっぱりそうだ。
『自分
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