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逆さの砂時計
この手を伸ばして
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応え、宙に浮いた状態で軽く沈んでから ひゅ! と凄まじい速さで翔んで行くティー。子供マリアから奪った視界に、金色が勢いよく入り込む。
 ……ふん。なかなかやるじゃないか。
 デブドラはデブドラだがな!
 「……え?」
 「なんだよ」
 俺が奪ったのは視界。映像だけ。フィレス達が喋っても俺には口パクだが、子供マリアには聴こえてるらしい。態度や表情がみるみる戸惑いに染まっていく。
 「どういう事? レゾネクトが、私に……何? ……今度こそ? じゃあ、ティーはレゾネクトに殺されたの!?」
 あ? んなのは予想の範囲内だろ。何を今更。
 「っと」
 フィレス達が居る辺りで金色の閃光が走る。レゾネクトが避けた後も尾を引いた光は、地上に触れる直前で溶けるように消えた。
 ……あれがドラゴンブレスか。どんな殺傷効果があるんだか、見た目じゃ判らんな。
 「! 呼ばれる。ベゼドラ、聖天女様を護って!」
 何かに反応したリースリンデが俺を見てそう言うので、俺は
 「嫌だ。」
 とだけ答えてみる。
 「…………もう、本当に……ベゼドラのバカーッ!」
 リースリンデの叫びを残して、三精霊の変身姿が上空に移動する。
 一瞬言葉を失って呆然とする様は、なかなか面白かったぞ。せーぜーガンバレ。
 「……(マリア)がティーを巻き込んだのね。確かに利用しようとは思ったけど、力を失くしたと判っていて連れて行くなんて……」
 額に手を当てて唇を噛む子供マリア。
 顔色が曇りまくってるが……多分、連れてったんじゃなくて、付いて行ったんだろうな。でなきゃ末尾に『これで良い』とは書かんだろ。知らんけど。
 「良かったな。一人じゃなくて」
 「そっ!」
 怒りかけの顔を勢いよく上げた子供マリアが、きょとんと瞬く。
 「……え? もしかして今、慰めた?」
 「寝言は寝てから言え」
 「貴方……本当は人間?」
 「ざけんな。殺すぞ」
 何が面白いのか知らんが、にやにやするな気持ち悪ぃ……って
 「跳べ、マリア!」
 「手を!」
 子供マリアの手を掴んで、同じ森の少し離れた場所に跳ぶ。直後、背中に爆発音と衝撃波が襲った。
 吹っ飛びはしなかったが、飛んできた石だの砂だの枝だのが微妙に痛ぇ。
 精霊共め……フィレスだけ護りゃ良いってもんじゃねーだろ! ちゃんとティーの防御もしろよ! 迷惑な!
 「大丈夫?」
 爆風から護ってやった子供マリアが、腕の中で首を傾げつつ俺を見上げる。
 「死んだように見えるか?」
 「社交辞令よ」
 「そりゃどーも !」
 映像のフィレス達が止まってる。
 あの間抜け、首を抑えられやがっ……
 ……なんだ? レゾネクトに妙な違和感が……
 「フィレス様!」
 「! 動くなマリ……」
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