暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
この手を伸ばして
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る程度だってのに。
 なんか腹立つな。

「俺にも見せろ」
「え? ちょ」

 棒立ちの子供マリアに口付けて、視界の一部を俺に移す。

 なんだ、ありゃ?
 手のひらより、二回りくらい大きめなカード?

「にゃうっ!」
「ぃでッ!」

 ティーのボールみたいな体が突然、横から頭にぶつかってきた。
 衝撃が半端ない。
 一瞬、視界が激しくブレた。

「その質量で体当たりとか、何考えてんだデブドラ!」

 取っ捕まえようとしたら、今度は目尻を吊り上げた三精霊が、俺の耳元で一斉に喚きだす。

「アンタこそ、聖天女様に何をするのよ! この黒焦げ男! 最ッ低!!」
「やっぱり悪魔は、破壊とそれしか頭に無いのね! この汚物!!」
「聖天女様を汚さないでよ、幼女趣味のケダモノ! 害虫!! ゴキブリ!!」
「おいコラちょっと待てテメェら! どこで覚えてきた罵倒か知らねぇが、好き放題ぬかすな! 俺に幼女趣味は無ぇし、コイツの実年齢は数千」
「ベゼドラ。うるさい」

 ひっ!?
 な、なんだ?
 子供マリアが急に猛吹雪を背負った?
 なんか知らんが……滅茶苦茶怖ぇ……!

「はあ。ベゼドラは空間を繋いで上空の様子を見たかっただけよ。大丈夫。それより、フィレス様に加勢して! レゾネクトを探ってるみたいだけど、このままじゃ危険だわ!」
「にゃっ」

 子供マリアの要請(ようせい)に応え。
 宙に浮いた状態で軽く沈んでから、凄まじい速さで翔び上がるティー。
 子供マリアから奪った視界に、金色の塊が勢いよく滑り込む。

 ふん。
 なかなか、やるじゃないか。
 デブドラはデブドラだがな!

「…………え?」
「なんだよ」

 俺が奪ったのは、子供マリアが肉眼で捉えてる視界。
 それと、子供マリアが『空間』を通して見てる『映像』だけ。
 フィレスとレゾネクトが喋ってても、俺には口パクだが。
 子供マリアには、しっかり聴こえてるらしい。
 会話を拾ってる子供マリアの表情が、みるみる戸惑いに染まっていく。

「どういうこと? レゾネクトが、私に、何? ……今度こそ? じゃあ、ティーはレゾネクトに殺されていたの!?」

 あ?
 んなもんは予想の範囲内だろ。
 何を今更。

「っと」

 フィレス達が居る辺りで、金色の閃光が走る。
 レゾネクトが避けた後も尾を引く光は。
 地上に触れる直前で、溶けるように消えた。

 あれが、大昔に神々や悪魔を圧倒してたとかいう、ドラゴンブレスか。
 どんな殺傷効果があるんだか、見た目じゃ分からんな。

「! 喚ばれる。ベゼドラ、聖天女様を護って!」

 突然何かに反応したリースリンデが、俺を見てそう言うので。
 俺は
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