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悠久のインダス
5部分:第五章
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第五章

「そうなんだよな」
「はい、その通りです」
「それはわかったよ」
 また言う隼士だった。
「それだけはな」
「では中に入られますか?」
 ガイドは今度はこう言ってきた。
「今から」
「ああ、それじゃあな」
 隼士も断らなかった。そうするというのだ。
「中に入ろうか」
「別に怪しい儀式とかは行われていませんから御安心を」
「人間を生贄にしてるとかはないよな」
「ははは、まさか」
 それはないというのだった。
「そうしたことは流石にありません」
「だよな、やっぱりな」
「ただ」
 しかしだ。ここで彼はこう隼士に話した。
「サッグという組織が昔ありまして」
「サッグ?」
「はい、ご存知ではないですね」
「何だそりゃ」
 サッグと聞いてだ。隼士は思わず問い返した。
「組織って。怪しい組織かよ」
「カーリー神を信仰する団体でして」
「つまり宗教団体なんだな」
「はい、カーリー神への生贄としてです」
「やっぱり生贄あったのかよ」
 隼士はそれを聞いて自分の予想通りだと思った。しかしそれで嬉しいわけではなかった。生贄と聞いてそう思える筈がなかった。
「それでどういう組織なんだよ、生贄って時点でやばそうなんだけれどな」
「人を後ろから襲い首を絞めて殺します」
 物騒な話が出て来た。
「そしてそれを生贄として捧げるのです」
「おい、そんなやばい組織があったのかよ」
「そうです。イギリス統治時代に掃討されましたが」
「まだ残ってるとかはねえよな」
「多分」
 今一つはっきりしない返答だった。
「もういないかと」
「やっぱり人間生贄に捧げていたのかよ」
「はい、過去には」
「本当に今もういないよな」
 隼士はそれを確認せざるを得なかった。そうでないとても落ち着けなかった。生贄と聞いたことがとにかく大きかった。それでだ。
「その組織の連中」
「ですから多分」
「多分って何だよ、多分って」
「完全な崩壊をしたかどうか。この目で確かめていませんので」
「そんなの一番最初に確認しろよ。今でもいたらやばいだろ」
 こんな話をしながらカーリー女神の寺院に入る。中はサッグの話とはうって変わってまともなものだった。隼士も安心するものだった。
 その日二人は別の街のホテルで休んだ。その翌朝であった。
 二人は向かい合ってカレーを食べている。ホテルのすぐ傍の店でだ。手でカレーを食べながらだ。ガイドは隼士に対して問うた。
「カレーは平気なのですね」
「カレーは大好きなんだよ」
 こうガイドに答える彼だった。
「日本でもカレーよく食うしな」
「ああ、あれですか」 
 ガイドは日本とカレーという二つの言葉を聞いてからこう述べてきた。
「あの変わった和食ですね。あれも美味しいで
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