暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第五十一話 当主
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
うな顔をした。
「公の要求を満たすには税や予算を扱った人間では駄目でしょう。流通、金融、経済政策等の分野での見識が必要ですが……」
アントンが大きく息を吐いた。

「何とか捜すさ。……フェザーンに人を送ります。情報源が必要です、情報が無ければ分析出来ません」
前半は俺に、後半はシュトライト少将、アンスバッハ准将への言葉だった。死人が使えないから代わりの人をフェザーンに入れるという事だろう。二人も頷く事でアントンの提案を認めた。

「それと公の領内視察ですが……」
「捕虜交換後に行う、御家族で視察していただく、だったな」
シュトライト少将の言葉にアントンが困った様な表情を見せた。シュトライト少将、アンスバッハ准将が訝しそうな表情を見せた。そして少将が“何か有るのか”と窺うような表情でアントンに問い掛けた。

「最初にカストロプに行くそうです」
「カストロプ?」
皆で顔を見合わせた。カストロプは公爵領ではない、帝国の直轄領だ。だがブラウンシュバイク公が統治を任せられている。確か改革派、開明派といわれる人間達が統治にあたっている筈だ。公爵家の領地ではないが統治に責任は有るから視察はおかしな話しでは無いが……。

「改めて公に予定を伺ったのですがカストロプの状況を確認し、改革派の人間達を連れて領内視察に向かう事を考えておられます。カストロプ、ラパート、ブラウンシュバイク、ヴェスターラント、フォッケンハウゼン、ディーツェンバッハ……」

アントンが地名を並べると二人の顔が強張った。俺がカストロプの他に知っているのはフォッケンハウゼンだけだ。ラパート、ヴェスターラント、ディーツェンバッハは知らない。アントンに尋ねるとラパートはカストロプ星系にある有人惑星でこれもブラウンシュバイク公が統治を委任されているらしい。ヴェスターラント、ディーツェンバッハはフォッケンハウゼン同様ブラウンシュバイク公爵家が有する有人惑星との事だった。要するに公はブラウンシュバイク公爵家が責任を持つ有人惑星を全て視察しようしているらしい。

「領民達への単なる顔見せではないという事か。領地を自分の目で確かめたい、足りない部分を改革派と確認したいという事だな。一カ所につき五日滞在としても一カ月、移動も入れれば最低でも二カ月はかかる、滞在が延びれば事によっては三カ月はかかるな」
アンスバッハ准将が唸り声を挙げた。気持ちは分かる、帝国きっての重要人物が三カ月も帝都オーディンから居なくなる。

「捕虜交換が始まるのが七月頃、大体九月までかかるはずだ。となると視察は十月から年内一杯か……」
シュトライト少将が溜息を吐いた。
「年末には戻っていただかねばなりません。年明けには陛下への新年の御挨拶が有りますし貴族達からの挨拶も有ります」
「厳しいな、一つか二つ減ら
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ