1部分:第一章
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彼の言葉がここでうわずったものになった。
「何だよ、人だけじゃないじゃないか」
見れば牛もいた。道を普通に歩いている。それも何匹もだ。
「話には聞いてたけれど実際に牛が普通に町を歩いてるのかよ」
「普通の光景ですが」
「インド以外じゃ全然普通じゃないよ」
「ここはインドです」
身も蓋もない言葉であった。
「ですからこれでいいのです」
「インドなんだな」
「そうです。インドでは牛は神聖な動物です」
ヒンズーの教えによる。
「だからいいのです」
「ううん、牛が普通にか」
話を聞いてもだ。まだ信じられないといった顔の彼であった。
「実際に見るとびっくりするよな」
「人と牛が共に暮らしている。いいと思いませんか」
「俺も牛は好きさ」
彼もそれは認めた。
「けれど。畑や牧場にいるのじゃなくてか」
「畑にも勿論いますよ」
「町にいるのは凄いよな」
「私も驚きました」
ガイドもだというのだ。
「他の国では町に牛が一匹もいないのですから」
「それが普通だろ」
隼士はまた日本の常識から述べた。
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