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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十八話 可愛げの無い敵
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帝国暦 490年 4月 16日 帝国軍総旗艦ロキ エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
「反乱軍最後尾の二個艦隊がこちらを待ち受ける姿勢を示しています」
オペレータが声を上げた。ヤンとウランフか、足止めだな。味方を逃がそうと必死だ。余り意味は無いんだが……。
「ビッテンフェルト提督に後方を脅かす様に伝えますが」
ワルトハイムが俺に確認を取りに来たから頷く事で答えた。
ビッテンフェルトも御苦労だな。ずっと後ろを脅かす役をやっている。脅かすだけで戦えないから詰まらないだろう。次はケンプに頼もうか。十五分程するとビッテンフェルト艦隊が隊列から逸れ始めたのが戦術コンピュータのモニターに映った。帝国軍本隊とヤン、ウランフ艦隊が接触するまであと一時間といったところか。ビッテンフェルト艦隊はあと三十分程の間に敵の後背に出る動きを見せなければならない。迂回しながらだから結構忙しいな。
ビッテンフェルト艦隊が迂回を始めた。徐々に徐々にヤン、ウランフの後方を目指す。ヤン、ウランフ艦隊が後退を始めた。やはり後ろを突かれるのは皆嫌がるな。だが両艦隊とも帝国軍に正対しているし後退速度は決して速くない、じりじりと距離は縮まっていく。撤退せずにあくまでこっちの足止めを狙っているらしい。余程時間を稼ぎたいようだ。もしかするとメルカッツが近くまで来ているのかな。向こうの哨戒部隊にでも接触したか。少し早い様な気もするが……。ビッテンフェルトが更に後方を目指した。
艦橋は落ち着いている。ヴァレリーも戦闘にならないのでリラックスしている様だ。ヴァレリーには出来れば自室に戻って欲しい。はっきり言ってきついんだ。傍でガチガチに張り詰めた表情をされるとこっちが辛くなる。でもなあ、そんなこと言えない。彼女の覚悟が分かるからな。俺に出来る事は気付かない振りをする事ぐらいだ。
降伏勧告でもしてみようか、メルカッツが来ているなら同盟軍が降伏する可能性はあるな。例え降伏しなくても迷わせる事は出来る、相手の士気を挫く事も出来るかもしれない。それとも傲慢だと感じてむきになって戦いを挑んでくるかな? だとすれば逆効果だが……。
戦場って一種独特の心理状態になるからな。必ずしも合理的な判断をするとは限らない。いや、むしろ出来ない事が多い。後で考えればどうしてあんな事をと思うような行動をする。だが本人達はその時はそれが唯一の正解だと信じて戦う。その所為で犠牲はとんでもない事になる。
「敵艦隊、急速接近!」
え? 何だ? ヤンとウランフが接近している。馬鹿な、ビッテンフェルトに後背を……。
「ビッテンフェルト艦隊に反乱軍二個艦隊が近付きます!」
何だ? 如何なっている? ビッテンフェルト艦隊にも側面から敵艦隊二個艦隊が接近している! 何処から現れた? これで
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