第1章:平穏にさよなら
第16話「大苦戦」
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「ぐぁっ....!?」
無茶な動きをしたせいか、体が動かなくなる。
くそ...リヒトに無茶するなって言われたのにこの様か...!
「(まずい.....!)」
既に回避は不可能。せめてかやのひめさんを逃がすために突き飛ばそうとして...。
―――ドンッ!
「「―――えっ...?」」
僕とかやのひめさん。二人揃って声を上げる。
誰かに二人共突き飛ばされた。それは分かる。なら誰が?そう思って寸前までいた場所に目を向けると...。
「...薔..薇.....姫....?」
絞り出すようにかやのひめさんがそう言う。
そう。僕らを突き飛ばしたのは、薔薇姫さんだった。
ボロボロで、生きているのか死んでいるのかすら分からないほどだった薔薇姫さんが、僕らを庇って斧に斬られていた。
「てめぇ、まだ生きていたのかよ...!」
「ふ、ふふふ...吸血鬼の頑丈さ。舐めないで...よ..ね....。」
そこまで言って倒れる薔薇姫さん。
「っ、くそがぁああああ!!」
脳が焼き切れんばかりの雄叫びを上げ、大気中の魔力と僕の魔力の全てを集中・圧縮。拳ほどの細さまで圧縮した砲撃魔法を放つ。
「なにっ!?これは...!」
爆発音が轟き、リーダーの男を吹き飛ばす事に成功する。
...まだ、やられてはいないだろうが。
「ねぇっ!薔薇姫!返事をしなさいよ!ねぇ....!」
かやのひめさんは倒れた薔薇姫さんに駆け寄り、必死に呼びかける。
...肩から腰までバッサリといかれたんだ。これじゃあ....。
「ごめ...ん....かやちゃ..ん...私、もう....。」
「嘘よ!死なないでよ!死んだら許さないわよ...!」
いくら吸血鬼でも、生命力そのものがなくなったら死んでしまうのだろう。...僕から見れば、彼女の生命力はまさに風前の灯だった。
....つまり、もう、助けられない....!
「お願いよ...!死なないでよ...!これ以上、友人を失いたくないのよ.....!」
「かや....ちゃん....。」
涙を流し、懇願するように言うかやのひめさん。
「大...丈夫....。あたしは...いつでもかやちゃんを、見守っているか...ら....。」
「薔薇姫?....ねぇ、薔薇姫...!薔薇姫っ!!」
力なく頭が垂れる薔薇姫さん。
―――誰かが目の前で死ぬのは、誰だって見たくない。
沸々と、怒りと悲しみ、そして悔しさの感情が湧き出てくる。
「嘘よ...う、そ....っ、ぁああああああ
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