暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
殺し殺され殺し合う
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速度を越える。

―――まだか。

流れ弾ならぬ、流れ針で真後ろにいたプレイヤーの身体を爆散させながら、少年はひた思う。

このクソッタレで最高に無意味な殺し合いを終わらす、逆転の一手。

メキリ、という音が響く。

肩口だ。尾の迎撃から漏れた一撃に耐えかねたように、纏わりつく過剰光が薄くなっていた。

もともと、現在レンの使っている力は中途半端な《災禍》だ。しかも、その依代たる《鎧》は消滅し、代わりにあてがわれたのは武器である。防具としての機能がまだあるのは、単純に《鎧》だった頃の《核》たる初代がいるせいだろう。

だが、それにも限界がある。

もとより《災禍》の力は借り物もいいところだ。精度などほとんど取れていない。その隙間を通すかのように、対物ライフルの弾丸も余裕で置いてけぼりにする威力を誇る一撃が飛来する。

―――まだか!

次撃、次々撃。

積まれるほどに詰んでいく戦況。

金属バットで殴打されるような衝撃に止まりそうな息を無理矢理吐きだし、少年はともすれば暴走しそうになる《災禍》の力を振り回す。

その度に自分の中のナニカが、さらさらと手のひらから零れ落ちる砂のように消えていくのを感じたが、それら全てを塗り潰す勢いで絶叫した。

『コ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!』

景色が。

景観が。

プラスチックで作られたハリボテのように、端から蹴飛ばされていく。

―――まだかッッ!!?

―――解けた!!

チリッ、と一瞬にも満たない刹那で弾けた、心の内からの声にレンはすぐさま反応した。

すなわち。

《災禍》に呑み込まれていた、二匹の《鬼》が解き放たれた音だった。

―――力貸せ!《()()》、《()()》ッ!!

ヴッ!!という音にならない蠕動がその場にいる全ての者の耳朶を揺さぶる。

それがフェイバルの中で具体的な危機感に切り替わるまで、数秒を要した。そしてその時間の間に、《準備》は抗いようもないくらいに整っている。

鬼法(ディアボロ)天墜(てんつい)》!!』

瞬間。

禍々しいくらいに眩い光の柱が、何の前兆もなく屹立した。

それはピンポイントでフェイバルがいた空間座標を貫き、赤茶けた岩盤を容易く融解させる。ドジュウウゥッ!という焼け爛れた音が響き渡り、大気が唐突に表れた超のつく熱源に身震いした。

――――だが。

「くすくす。ぬるい、ぬるいなぁ〜」

ぬらりとした、声があった。

岩石が結晶化――――ガラスと化している高熱の地獄の中から、悠然と歩を進める人影が吐き出される。

「《天墜》は光を心意で捻じ曲げ、一点に集約させてから堕とす技。こんな夜中に満足のいく結果が
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