5部分:第五章
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理ね」
二人が少し羨ましいようであった。その証拠に寂しい笑みを見せていた。だがお姉さんにはどうにもならないようであった。ただ二人を見送るだけであった。
二人はそのまま出口に向かって歩いていく。こんなに広い場所なのにどういうわけか出口が何処にあるのか、二人ははっきりわかっていた。
「もう少しだからね」
「うん」
励まし合いながらその出口へ向かっていく。その間一樹は早智子の手を握っている。決して離そうとはしない。
(ここでさっちゃんを離したら)
彼は心の中で呟く。
(もう二度と向こうじゃ会えなくなるから)
それだけは嫌だった。だから決してその手を離さない。
「いい、さっちゃん」
彼は早智子に対しても言った。
「僕の手を離さないでね」
「うん」
早智子もその言葉に頷いた。
「私何があっても一樹君の手を握ってるよ」
「絶対にね」
「だからね、一樹君」
そして今度は自分から一樹に対して言う。
「振り向かないでね。何があっても」
「わかってるよ」
確かに彼は振り向かない。そのまま出口に向かって行く。早智子の手の感触を確かめながら。だが出口に向かって進んで行くと次第に辺りが暗くなってきた。そして周りから薄気味の悪い声が聴こえてきた。
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