二十一話:闇の書の意志
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を闇の書の意志は眉一つ動かない本物の機械としての表情で聞いていく。
自分には揺れるべき心など存在しないのだと言い聞かせながら。
「我は闇の書。主の願いを叶えるための存在。主は確かに全ての破壊を望んだ」
「なら、どうして私達と優先して戦ってるの?」
「私はいずれ暴走状態に陥る。世界の滅びはその時におのずと訪れる。なら、今は主との関わりが強い者達から壊す」
「そんな……それが本当にはやての願い? 違うよね。一時の絶望に身を任せているだけだよ、それは」
自身も親に見捨てられた経験のあるフェイトは真っすぐに闇の書の意志の瞳を見つめて話す。
その奥に居るであろうはやてにも声が届くことを信じて。
「主は私の中で絶望の淵で夢を見ている。私にできることは優しい夢を見せて主を癒すだけ」
「そんなの間違ってる…っ。現実から目を逸らさないで! 誰かが―――私達ははやての傍にずっと居る!」
「……もう、遅い。何もかも…遅すぎる」
母親にゴミのように捨てられ、生きる意志も、目的も見失っていた時に気づいた事実。
誰よりも信頼していた人物から見捨てられたとしても、必ず誰かが傍にいてくれること。
必ず誰かが手を差し伸べてくれていること。
世界は残酷だけど、同時に何よりも美しいことを。
全身全霊をもって伝えようとしたが、悠久の時を絶望で染め上げた闇の書には届かない。
「咎人達に、滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ」
「え? あれって……まさか」
手を掲げ、桃色の見慣れた円状の魔法陣を展開する闇の書の意志にユーノが声を上ずらせる。
ベルカ式ではなくミッド式の魔法陣。そして、なのはと同じ桃色の魔力光。
何よりも周囲の魔力を収束していくあの姿は間違いなく―――
「なのはのスターライト・ブレイカー!?」
「不味い……早く逃げないとッ」
なのはのリンカーコアを蒐集したことで使用可能とした切り札、スターライト・ブレイカー。
技をコピーするという出鱈目な芸当に声を荒げるユーノ。
誰よりもその威力と危険性を理解し、顔を青ざめさせるフェイト。
肝心のコピーされた本人といえば、驚いたものの、闇の書は凄いんだなと思う程度である。
「行くよ、なのは」
「ちょ、ちょっと慌て過ぎじゃない?」
「至近で食らったら防御なんて役に立たない」
「そ、そうなんだ」
周囲の余りの慌てように少し傷つきつつ尋ねてみるが、今日一番の真剣な顔で返されてしまい自分の技の威力に自分で少し引いてしまう。
全力で飛び去り、範囲内から完全に離れてしまおうと目論む四人だったが、そこに思わぬアクシデントが起こる。
『Sir, there are noncombatants| o
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