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逆さの砂時計
集結
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ひらより大きめなアリア色のカード五枚を空中に並べる。
 真ん中の一枚を人差し指で弾いた瞬間。
 五枚すべてが、大気を鋭く切り裂きながら、私を目がけて飛んできた。

 ああ──……。
 カードで指を切ると、地味に痛いから……。

「それはどうも、ありがとうございます!」

 上下左右正面から、かまいたち並みの速さで襲いくるカード達。
 後ろに飛んで避けるのは危険だろう。
 多分、レゾネクトが私の背後に移動して翼を押さえる。
 カードの隙間を縫って逃げようにも、こんな速さで飛来されては難しい。
 追尾とかも普通にされそうだし。
 ちょっとした賭けにはなるが、その時はその時だ。
 四枚と背後は無視。
 正面の一枚に向かって、飛ぶ!

「ほお」

 カードを胸部に通過させた私を見て。
 レゾネクトの瞳が、少しだけ丸くなった。
 勢いで仕掛けた刺突は、空間移動であっさり避けられ。
 振り返れば、さっきまで私が居た場所で重なり合ったカードを再度空中に展開してる。

「頭で解っていてもなかなかできることではない。認めよう。お前は優秀な武人だよ、フィレス。一国の騎士に収めておくには惜しい実力者だ」
「本当に……際どい選択でしたけどね」

『光る武器はすべて『退魔』の力で、『退魔』の力は神を傷付けない』

 私を覚醒させた状況から推測した結果だが、その通りで良かった。
 でなければ、ただの自殺行為だ。

「では、次はどうする?」

 レゾネクトの指先がカードを弾く。
 また同じ攻撃か?

 ……違う。
 迫ってくる途中で、薄い緑色が紫色に変わった。
 魔王の力か。これは受けられない。
 避けないと即死する。そんな気がする。

「…………っ」

 弾けるとは思えないが、咄嗟に剣を構え

「みゃうっ!!」

 ひゅん! と、目の前を金色の光が走った。
 下から上へと昇ったそれは、私の前方でぐるりと大きな円線を引いて。
 五枚のカード全部を『食べた』。

 ああ……助かりましたが、まだちょっと早かったです。
 レゾネクトに気付かれなければ良いのだけど。

「ゴールデンドラゴン!?」
「みゃああっ!」

 驚いて一歩分後退したレゾネクトと私の間で、羽根を広げて浮かび。
 牙を剥いて威嚇する、元黒い日記こと、ゴールデンドラゴンのティー。
 勢いは大変(いさ)ましいのですが。
 その愛嬌溢れる丸っこい容姿と、仔猫の鳴き声では、少々緊張感が……

「……そうか。あの男の日記を『言霊』で変容させたのか」
「みょにゅみ、みゃいみゃにょ、みょみぇみみょう、にゃみゃみぇみゅみぇにゃい!」
「その口振り……懐かしいものだな、バルハンベルシュティトナバールよ。もっとも
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