精神の奥底
52 Dark Side Of The City 〜後編〜
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えられるようになる、慣れるということはあってはならないのだ。
「……」
彩斗は頭を振って、頭の中を白紙にした。
もう少年のことを考えるのをやめたのだ。
少年がどの道を選ぼうと、最終的には本人の意志を尊重するべきだろうと思い至った。
気持ちに区切りをつけた途端、不思議とガレージに戻ってきたばかりの緊張感が湧き上がる。
まだ戻ってきたという実感がイマイチ無い上、戻ってくる時に何度も確認したはずなのに追手がいるのではないか?、後ろから狙われているのではないか?と不安になる。
もう一度、後ろを振り返って誰もいないのを確認してからトランサーを外して、エレベーターに乗って部屋に戻る。
「ふぅ…さっきと変わらない」
部屋には先程とほぼ体勢でメリーは眠っており、変わったところは見受けられない。
しかしそれは、寝返りをうつことも無い程に短い時間だったことを彩斗に実感させる。
ゆっくりとメリーと同じベッドに入ろうとした。
「ん…兄さん?」
「あっ、起こしちゃった?」
「いいえ…何分か前からウトウトはしてたんですけど…兄さんがいなくなっって」
「あぁ…少し外の空気を吸ってたんだ」
「そうですか。良かった、私と寝るのが嫌になったんだとばかり…」
「そんなことないよ…メリーと一緒だと、久しぶりに落ち着いて寝られる」
「あっ…私も」
彩斗はメリーと同じ掛け布団の中に入ると、甘えた猫のようにメリーにくっついた。
「…悪い子ですね、兄さん?」
「何が?」
「いつも女の子をこんな風に勘違いさせてるんですか?」
「少し過保護かな?君を嫁に送り出すまで誰にも手を出させたくなくてね」
「こんなに過保護じゃ…嫁に行く相手も寄って来ませんよ。その時は責任とってもらってくださいね」
「心配しなくても大丈夫だよ。君は可愛いからね、放っておいても本当に好きな相手なら僕がいても寄ってくるさ」
「兄さんも…何処の馬の骨か分からない人連れてこないでくださいね?」
「妹が姑にならないように気をつけるよ」
昔から彩斗はメリーを実の妹のように可愛がっていた。
今でもそれは変わらず、それが時々、兄妹を通り越して親のように過保護になってしまう。
そしてメリーも彩斗のネットナビであり、妹として頼れるはずなのに時折1人で無茶をしてしまう危なっかしい面を持った彩斗に対して過保護になってしまうのだった。
「……あれ?兄さん、ここに白髪が…」
「え?イテッ!」
「ホラ」
「ホントだ…」
「若白髪ですか?ストレス?やっぱり疲れてるんですね」
「……」
彩斗はまだ自分の寿命のことを知って1時間しか経っていないというのに、早くも受け入れ始めていた。
メリーが引き抜いた白髪を見て、一瞬だけため息が出た。
諦めがついた瞬間、身
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