精神の奥底
52 Dark Side Of The City 〜後編〜
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ポケットからAQUOSを取り出す。
しかしノイズが酷く、アンテナピクトに?が表示され、発信ができない。
女性は左の腕の骨が折れているようで、他には鼻から大量の血が流れ、右の頬に巨大な青アザができていた。
「灰色の…奴がいきなり襲い掛かってきて…売人とカードを…」
「灰色の奴?ウォーロック、それが…」
「うぅぅ…」
「ところで売人とカードっていうのは?」
「ってぇ…くっそ…痛いよ…」
「大丈夫ですか!?すぐに警察と救急車を呼びますから!」
「…警察?ふざけんな…」
「え?」
「どいてよ!!」
女性はスバルを跳ね飛ばし、おぼつかない足取りで去っていた。
とっさの出来事でスバルは反応が遅れた。
「待ってください!」
「うるっせぇ!!救急車?警察?呼んだらタダじゃすまさ…クッ…」
しかし女性は50メートル程歩いたところで力尽きた。
意気がっていても、体の方は限界だった。
それは彼女を見れば、誰であろうと精神も肉体もまともな状態ではない。
「ったく、言わんこっちゃねぇな」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ…左腕と鼻の骨は折れてるし…」
「呼ぶなってんだから、呼ばなくていいんじゃねぇか?本人が言ってんだし」
「そうかもしれないけど…ん?」
勝手に現場を去ろうとした女性を遠目に見ながら、ウォーロックは呆れ顔で本音をこぼした。
半年前までのスバルなら賛同する上、今でもそう思っている部分はある。
しかし今は数少ない手がかりだ。
仕方なく、ゆっくりと近づこうとした時、何かを踏んだ。
「何だろ、コレ?」
拾い上げたのは、乾きかかった血のような赤色に不気味な渦か炎のような模様の入ったカードだった。
先程の欠片の正体はこれだった。
このカードもヒビが入り、ところどころが砕けており、カードとしての原型を殆ど留めていない。
ちょうどトランサーに使うバトルカードやサブカードといったデータストレージキーと同じ形状をしていたようだが、市販されているものとは何処か違う。
「これってあの欠片の…これがあの人が言ってたカードなのかな?」
「みたいだな」
「ここでこのカードを売り買いしていた?このカードは一体…」
「間違っても、トランサーで使うな。何が起こるか分かんねぇ」
「うん。でも損傷が激しくて、使いたくても使えなさそうだ」
「何か書いてあるな。FM星人のオレには地球の言葉は読めねぇが、お前なら読めるだろ?」
「読めるかな…」
「お前、地球人だろ!?」
「僕は地球生まれの地球育ちだよ!でも地球には国や地域によって色んな言語が…」
まだ日が登る前で薄暗く、街灯の光もあまり入ってこず、スバルは目を細めた。
しかしすぐに諦め、トランサーを開いて、その液晶のバックライトを明かりにす
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