暁 〜小説投稿サイト〜
野獣
8部分:第八章
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ガイドと二人歩いていた。
「思ったより簡単な構造だったのですね」
「そうですよ、むしろ貴方の国の銃の方が複雑です」
 彼は笑いながら言った。
「それは自衛隊の銃のことですか?」
「はい、よくあんな複雑なつくりの銃を使っていますね」
「そうなのですか。僕は銃のことには詳しくないので」
「私は銃のことには興味がありますからね」
 意外にも彼はガンマニアのようだ。
「色々と勉強したりしているのです。それで日本の銃についても読みました」
「そうだったんですか」
「私はあんな銃は使いたくはないですね。手入れが面倒だ」
「手入れ、ですか」
「おっと、馬鹿にしてはいけませんよ」
 彼は顔を引き締めて言った。
「手入れを怠ると大変ですよ。暴発してしまうかも知れませんしね」
「暴発、ですか」
 急に手に持っている拳銃が怖くなった。
「そうです、部品一つなくしても銃は駄目になってしまうのですよ」
「案外繊細なのですね」
「そう、女の子のようにね」
 彼はにんまりと笑ってそう言った。
「女の子みたいにですか」
「そうですよ、そう言うとわかりやすいでしょう」
「はい」
 彼の言葉に少し怖くなっていた僕の心が明るくなった。
「銃は細かい手入れをしておけばいいです。あとは簡単です」
「そうなのですか」
「今はそれよりもムングワのことを考えましょう。またすぐ出て来るでしょうし」
「僕達を襲いにですか」
「そうかも知れませんね」
 今度は笑ってはいなかった。
「奴が私達の顔を覚えていれば間違いなく」
「来るでしょうね」
 ネコ科の生物は執念深いと言われる。ムングワもそうであろう。
「これからはその銃を常に身に持っておいて下さいよ。もしもの時はそれが最も心強い友人になります」
「わかりました」
 その言葉には重みがあった。僕はその言葉に対し頷いた。

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