8部分:第八章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ガイドと二人歩いていた。
「思ったより簡単な構造だったのですね」
「そうですよ、むしろ貴方の国の銃の方が複雑です」
彼は笑いながら言った。
「それは自衛隊の銃のことですか?」
「はい、よくあんな複雑なつくりの銃を使っていますね」
「そうなのですか。僕は銃のことには詳しくないので」
「私は銃のことには興味がありますからね」
意外にも彼はガンマニアのようだ。
「色々と勉強したりしているのです。それで日本の銃についても読みました」
「そうだったんですか」
「私はあんな銃は使いたくはないですね。手入れが面倒だ」
「手入れ、ですか」
「おっと、馬鹿にしてはいけませんよ」
彼は顔を引き締めて言った。
「手入れを怠ると大変ですよ。暴発してしまうかも知れませんしね」
「暴発、ですか」
急に手に持っている拳銃が怖くなった。
「そうです、部品一つなくしても銃は駄目になってしまうのですよ」
「案外繊細なのですね」
「そう、女の子のようにね」
彼はにんまりと笑ってそう言った。
「女の子みたいにですか」
「そうですよ、そう言うとわかりやすいでしょう」
「はい」
彼の言葉に少し怖くなっていた僕の心が明るくなった。
「銃は細かい手入れをしておけばいいです。あとは簡単です」
「そうなのですか」
「今はそれよりもムングワのことを考えましょう。またすぐ出て来るでしょうし」
「僕達を襲いにですか」
「そうかも知れませんね」
今度は笑ってはいなかった。
「奴が私達の顔を覚えていれば間違いなく」
「来るでしょうね」
ネコ科の生物は執念深いと言われる。ムングワもそうであろう。
「これからはその銃を常に身に持っておいて下さいよ。もしもの時はそれが最も心強い友人になります」
「わかりました」
その言葉には重みがあった。僕はその言葉に対し頷いた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ