第二百三十一話 怪しげな茶その二
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「織田信長にな」
「よし、それでは」
「我等もです」
「兵を挙げる用意をします」
「これよりです」
「今以上に速めます」
「そうせよ、急ぐのだ」
その兵を挙げる用意もというのだ。
「時はないぞ」
「はい、明智光秀達を操り」
「その軍勢を動かしてですな」
「都にいる織田信長を討ち」
「そこから一気に兵を挙げて」
「世を混沌に落としますな」
「そうする、だからじゃ」
それが為にというのだ。
「兵を挙げる用意を急げ」
「畏まりました」
「では急ぎます」
「我等魔界衆の兵の全てを」
「それを動かす用意を」
周りの者達も応える、そしてだった。
闇の者達は手筈を進めていた、彼等のことを起こす用意を。そのうえでだった。
謎の茶人堂順は城の一室で座していた、だが。
その彼にだ、共にいる茶人達即ち彼の同僚達が言って来た。
「あの堂順殿」
「幾ら何でもです」
「これまで病に伏せられていたのに」
「昨日ようやく出仕出来たではありませぬか」
「それでこれから殿に茶を淹れられるのは」
「無理では」
彼の身体を気遣って声をかけるのだった。
「ですからここは」
「休まれては」
「養生されるのがよいかと」
「今は」
「大丈夫でござる」
だが、だった。堂順はこう彼等に返すのだった。
「身共は」
「いや、やつれておられますぞ」
「頬もこけて」
「それにお顔の色もです」
「どうもです」
悪いというのだ。
「ですから我等がいきますが」
「ここは」
「いやいや、お気遣いは無用」
こう言うばかりの堂順だった、そしてだった。
彼は立ち上がり明智達が入る茶室に向かうのだった、その中谷堂順を見てだった。小姓達もこんなことを話した。
「何故あそこまで無理をされるか」
「わからぬな」
「どう見ても養生が必要だというのに」
「それでまた動かれるとか」
「わからぬな」
「殿への忠義故だろうか」
「召し抱えておられる」
こう話すのだった、そしてだった。
そうした話をしてだった、彼等も堂順に妙なものを感じずにはいられなかった。だがだった。
堂順は茶室に入った、そして明智達三人もだった。明智達は茶室の狭い入口を通ってその中に入ってだった。
その中でだ、堂順を見た。すると。
明智はすぐにだ、彼の痩せ色も悪い顔を見てこう問うた。
「養生はしておるか」
「はい」
堂順はこう彼に答えた。
「ご安心下さい」
「ならいいが」
「ではこれよりです」
「うむ、茶をじゃな」
「お淹れします」
こう明智達に言ってだ、そのうえで。
茶を淹れて三人に差し出した。三人はまずはだ。
その茶を一杯飲んだ、そして見事な作法の後でだ。
碗を置いた、そこからだった
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