5部分:第五章
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慄然とした。
「貴方達がムングワを見たのは何時頃でしたか」
「確か・・・・・・一時頃だったと思います」
「そうですか」
彼はそれを聞いて頷いた。
「ちょっと来てくれませんか」
そして彼は僕達に対して言った。
「何処へですか?」
僕達は尋ねた。
「事件が起こった現場です」
彼はそのまま飾らずに言った。有無を言わせぬ強い口調であった。僕達はそれに従うことになった。
僕達は医者に連れられ事件現場に来た。見れば僕達が昨日の夜ムングワを見た公園だ。
「ここか」
朝の日差しはもう強くなってきている。半袖でも汗が滲んでくる。
その中に虫の声が聞こえる。そして木々が左右に生い茂っている。
「夜に見るのと雰囲気が全然違うな」
僕はふとそう思った。あの時はこの木々が化け物のように思えたが。
現場は僕達がムングワを見た場所と殆ど離れてはいなかった。すぐ側の木の下であった。
「これは・・・・・・」
僕はそれを見て絶句した。それは若い男の無残な死体であった。
全身がズタズタに切り裂かれている。喉は食い破られそこから血が噴き出したあとがある。そして手も足も爪か何かしら鋭いもので切られていた。
だが何処も千切られてはいない。そして全身をくまなく切られている。それを見て何か人間めいた犯行であるように思われた。
「これについてどう思われます」
「どうと言われましても」
正直に言わせてもらうと死体を見るのは今まであまり機会がなかった。ましてや殺害された人間の死体なぞ。見ていてあまり気分のいいものではない。
しかし気を失うようなことはなかった。僕はどうもこうしたものを見ても平気な体質のようだ。
「何者がやったように見えますか」
本当に率直に聞いてくる人だと思った。
「ネコ科でないとは思いますが。少なくとも野生の」
「やはり」
どうも僕がそう言うのを予想していたようだ。僕でもネコ科の習性はある程度知っている。これはネコ科のやり方とは到底思えなかった。
「人間がやったものに近いような気がします」
殺すのを楽しんでいるふしがある。これは全身をくまなく切り刻んでいるところからそう思ったのだ。
「ですね。前から思っていたことと同じです」
彼は言った。
「我々もこれは人間、もしくは人間の指示で起こった事件だと考えています。この殺し方は将に人間のそれです」
「ではやはり」
「ですね」
彼は僕の言葉に対し頷いた。
「おそらくこの国の何処かに潜んでいるのでしょう。それも地下に」
「地下ですか」
昨日の話だとそこにいたらおそらく見つけ出すのは絶望的だ。
「こうなったら我々にも意地があります」
その言葉は意外であった。
「地下にでも何でも行って見つけ出してやりますよ。そしてムングワを必ず仕
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