第一部
第六章 〜交州牧篇〜
七十九 〜義姉妹〜
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私の提案に、二人は眼を丸くする。
「別に不思議ではあるまい? 血は繋がらずとも、兄弟、いや姉妹の契りを交わす、大いに結構ではないか」
「わ、私は……」
「無理強いをするつもりはないが、そこまで仲睦まじいのであれば、と思ったのだ。どうだ、白兎?」
照れを隠しきれぬ様子だ。
まんざらでもないようだが、疾風はそんな白兎をジッと見ている。
「歳三殿。白兎殿が困っておいでですよ」
「そうかな? そう言う疾風、お前はどうなのだ?」
「私は……」
目を逸らす疾風。
「今すぐに結論を出せとも申さぬ。二人とも、よくよく考えるがいい」
「は、はい」
「……はっ。ところで歳三殿、本題に入らせていただきます」
居住まいを正す二人。
「うむ」
「まず一つですが、洛陽で不穏な動きが出ていると知らせが」
「また、魑魅魍魎の輩が蠢動していると申すか?」
「はい。ただ、どうやら動いているのは十常侍ばかりではないようです」
「どういう事だ?」
「それが、詳細は未だ掴めていないとの事です」
無念そうに、疾風は唇を噛む。
月の力を削ぎ、何進を抑え込んでいる今、奴らが更なる蠢動をする理由がわからぬ。
それに、宦官共以外に動きを見せているという存在。
華琳や麗羽らが動く事はまずあり得まい。
黄巾党の残党という可能性もあるが、如何に宦官共が手段を選ばぬとは申せ、それは己の首を絞める事になろう。
「確かに気になるな。何進殿や詠らにつなぎを付けるか」
「それが宜しいかと。……ただ、私自らは出向く事が出来ません」
と、疾風は声を潜めて、
「士燮殿の調べが未だついておりません。何か、まだ隠された事実があるのは間違いないのですが」
「うむ。だが、洛陽の方も放置しておく訳にはいかぬな」
「……そこでなのですが。白兎殿を派遣するお許しをいただけないでしょうか?」
「白兎を?」
「はい。本来ならばもう少し修練を積んでいただきたいところなのですが、猶予もどうやらなさそうです。それに、白兎殿にとって洛陽は庭同然です」
「ふむ、確かにその通りだが。白兎」
「はい」
「お前はそれで良いのか? 決意が鈍るやも知れぬのだぞ?」
白兎は頭を振って、
「いいえ。私は既に父上の娘です。何進様のご恩を忘れるつもりはありませんが、父上の意に背くような真似は出来ません」
「……そうか。それだけではない、かなりの危険を伴う事にもなる」
「父上。お気遣いは嬉しいのですが、疾風様の下にと決めた時から、とうに覚悟は決めています」
「危険を顧みぬ覚悟か? それならば、この話を認める訳にはいかぬぞ」
「いえ。危険に立ち向かい、何があっても生き残る覚悟です。そうでしょう、父上?」
ふっ、察していたか。
ならば、とやかく申す事もあるまい。
「
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