二十話:正義の形
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化する。
ただ、結合であって修復ではないため、結合されたところの元の機能は失われていく。
そして、この弾丸の真価は相手が魔法で干渉することで発揮される。
弾丸の効果は魔法回路にまで及び、切断、結合される。
結果、回路に走っていた魔力は暴走し、術者自身を傷つける。
RPG的に喩えると、相手の保有するMP数値がそのまま肉体へのダメージ数値になるようなものだ。つまり相手が強力な魔法を使っていればいるほど殺傷力が上がる仕様である。
ただし、材料がロストロギアということもあり弾数には限りがある。
66発しか作られておらず、また製造できるのもスカリエッティただ一人とあって、とにかく希少である。
現在までに37発を消費。1発の浪費もなく、起源弾は37人の魔導士と騎士を破壊してきた。
そして、今、38人目の騎士が魔弾の餌食となったのである。
「僕一人で終わらせる予定だったけど、時間がない。頼むよ」
新たに煙草を取り出しながら何者かに声をかける切嗣。
すると、どこからともなくバインドが現れ、なのは、フェイト、ヴィータの三人をあっという間に縛り上げてしまう。
本来であれば封印の直前まではアリアは隠れている予定であったが、なのはとフェイトの妨害を考えて早めに動かしたのだ。
二人を始末するのは不可能ではないが時間がない以上は生かすしかない。
「お父さん……どうして? 信じていたのに……」
「生憎、僕は他人の信頼に答えられる人間じゃないんだ。君もシグナムの後を追うといい」
「なんで…なんで…どうしてなのッ…?」
「お休み、シャマル」
溶けるように消えていくシャマルの姿を凍り付いたままの表情で見送り煙を吐き出す。
――はやてちゃんの病気が治ったらみんなでまた静かに暮らしましょう――
少しドジな部分もあったが、はやてを見守る姿はまるで母親の様な温かさがあった。
やわらかい笑みで自分に笑いかけてくれた。何か失敗すると泣きそうな顔で謝ってきた。
思い出したくなどないのに頭の中を記憶が駆け巡っていく。
できることなら今すぐ膝を屈して胃の中のものをすべて吐き出してしまいたい。
それでも、彼の体は微動だにしない。
「切嗣ッ! ふざけんなよ…全部嘘だったのかよッ!? 今まで優しくしてくれたのも、頭を撫でてくれたのも! 出かけた帰りにアイスを買ってくれたりしたのも―――全部嘘なのかよッ!?」
瞳から止まることなく涙を流しながらヴィータが悲痛な叫びをあげる。
その声を聴く度に切嗣の心は軋みをあげる。
嘘なんかじゃない。全部本心だ。今でも家族だと思っている。
心の底から可愛がっていた。だが、返す言葉はたったの三文字。
「ああ―――嘘だよ」
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