二十話:正義の形
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銃弾と砲撃がぶつかると誰もが思った時、憎しみの烈火が割り込んでくる。
「このッ! ―――外道がぁああッ!!」
リンカーコアが体外に摘出されている状態であるにも関わらず、全力で炎の魔剣を振りかぶるシグナム。なのははそのことに驚き、砲撃を止めてしまう。
切嗣はバインドが解かれたことにほんの少しだけ眉を動かすが、一切の動揺をすることなく魔弾を放った。
「紫電―――一閃ッ!」
『Origin bullet.』
切嗣の切り札たる魔弾、『起源弾』が烈火の将の愛剣、レヴァンティンの纏う炎に焼かれて消えていく。
そのまま、一気に切嗣ごと斬り伏せようとしたシグナムであったがその足はピタリと止まる。
何かがおかしいと脳が気付く前に体が理解していた。
―――己の体の崩壊を。
「バイバイ、シグナム」
「―――ッ!?」
何が起こったのかも理解できずにシグナムの全身から血が噴き出してくる。
内部からズタズタに引き裂かれたかのようにその美しい容姿を血で染め上げる。
抗うことすらできずに崩れ落ちていき、リンカーコアを全て奪われたことで足元からその姿は消えていく。状況の理解すらままならない頭で彼女は一つだけ理解した。自分は死ぬのだと。
「なに……なにが起きたの?」
「……折角の銃弾が無駄撃ちになったな」
――私達はその……家族なのですから――
魔力の靄となって消え去ってくシグナムの言葉が思い出され心が騒めく。
堅物と表現されることも多かったがどこか優しさも兼ね備えた女性だった。
自分のことを慕ってくれていたことが嫌なほど簡単に思い出せる。
家族をこの手で撃ち殺した罪悪感が全身を毒のように駆け巡る。
だが、すぐにその感情を振り払い、切嗣は無表情を貫く。
「銃弾を斬ったからこうなったの…?」
「さてね、僕にもさっぱりだ」
皮肉気な声でなのはに返す切嗣。
起源弾、「切断」と「結合」の性質を持つロストロギアを合成することで作られた弾丸。
それ自体は無害であるロストロギアを混ぜ合わせ凶悪な兵器に改造した辛辣な切り札。
どういった仕組みかというとまず、魔法を使う際、リンカーコアから使うべき部分へと魔力は流される。
つまり、回路の様なものが存在する。
疑似的な神経の様なものであり電気を流す路の様なものである。
リンカーコアが電気を生み出す炉であり、そこから電気を流すのに必要な回路なのだ。
起源弾は切って、嗣ぐ、効果を持つ。
それは修復ではなく、紐を切って結び直すようなものである。
当然そこには結び目が生まれるように、不可逆の変化が対象を襲う。
この弾丸で穿たれた傷は即座に結合され、まるで古傷のように変
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