二十話:正義の形
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意味がない。無価値だ」
「そんなのおかしいよ…っ。頑張った人が報われないなんて間違ってる!」
「……決して叶うことのない理想を抱いた時、人は幾ら頑張ったところで報われないんだよ」
なのはの叫びに対しても切嗣は終始無表情で己への皮肉を込めて返す。
人が抱くには余りにも大きすぎる理想を抱いた時、その者の救いは自らの破滅だけとなる。
諦めて投げ捨てることがなければ理想を抱いて溺死するだけだ。
「少し、長話をしてしまったな。そろそろ始めるとしよう」
どこか疲れたような声で闇の書を掲げる切嗣。
ページが開かれて騎士達の体からリンカーコアが浮かび上がる。
本来であれば戦闘不能状態にでもしなければ奪うことのできないリンカーコア。
しかしながら、元が闇の書の一部の騎士達であれば逆らうこともできずに奪われるだけである。
所詮はプログラムとして構成されただけの存在なのだ。
「これが現実だ。幾ら人間のフリをしたところで、機械は自分の役目を果たすだけの存在だ」
「そんな…そんなことねえ! はやてが…はやては、あたし達を家族として扱ってくれたッ!」
「そうだよ、ヴィータちゃんは機械なんかじゃない! だから、こんなこと私が止める!」
苦しみながらも自分達が人間だと叫ぶヴィータ。
なのははその姿に涙ぐみながら切嗣を止めるために砲撃の構えを見せる。
切嗣はその姿に胸がズキリと痛むのを感じながら無表情でデバイスを構える。
「トンプソン」
『Mode Contender.』
既に布石は敷かれている。自らの切り札を最大限に生かすための環境は整った。
銃の構えを見せればなのははロッテから得た偽の情報によりさらに砲撃の威力を高めていく。
高町なのはは危険である。封印が失敗した時の対処も考えれば居た方がいいかもしれないがクロノとフェイトがいれば足りる。
生きていればメリットよりもデメリットの方が大きい。あの希望に満ちた目は危険だ。
故にここで後顧の憂いを断つ。
「はやてはどうするの! あなたの娘だよね!?」
「簡単なことだよ―――永遠の眠りについて貰うだけさ」
未だに戦闘態勢を取らずにフェイトの言葉に冷徹にそう返す切嗣。
フェイトにとっては親から見捨てられるというのは他人であっても心が抉られるトラウマのため武器を構えることができないのだ。
だが、切嗣の言葉は今の今まで絶望を浮かべていたシグナムの瞳に怒りの業火を滾らせることになった。
「全力全開! ディバイン―――」
「トンプソン、カートリッジロード」
切嗣が一瞬早く魔弾の引き金を引く。
なのはがロッテに言われたとおりに全力で弾丸を打ち落とすために最後の溜を作る。
次の瞬間には
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