第十一話「オー・シャンゼリゼ」
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になるかのように……
「はいはい、道を開けて?」
「みんなも、急がないと授業に遅れちゃうよ?」
「っせーな! とっとと失せろや!!」
「シャルルが通れないだろ?」
俺たちは、そんなアイドルのガードマンのように彼の周囲になって道を開けていく。一様、男子というなら同じ同類として助けてやらないとという一夏の発言でこうなった。
しかし、俺たちは集中的に非難を浴びて通行は今も困難だ……
「……太智、可哀相だけどあれを出したら?」
すると、清二の発言に太智は淵ポケットから手のひらサイズの瓶取り出して、それを女子たちに見せつける。
「静まれ! 静まれー!! このゴキブリ瓶が目に入らぬか!?」
その瓶には、太智が女子共へ悪戯すべく学園の敷地ないからかき集めた巨大なゴキブリが、カサカサと音を立てて大量に瓶の中へ押し詰められていた。
廊下は女子たちの巨大な悲鳴と共に周囲は途端に逃げ出してガランとなった。
「へへっ! コイツはいい効果だ」
そういうと、太智はそっと瓶を大事そうに懐へしまい込む。
「な、な、何なのそれ!?」
しかし、シャルルは顔を真っ青にして瓶に指をさした。
「ああ、これかい? ゴキブリの入った対女子用兵器の一つだ。ほかにもムカデやカメムシの入った瓶も入って、種類は豊富だぞ?」
自慢げに説明する太智だが、シャルルはそんな瓶と聞いて一瞬目まいが起きそうになる。
「よし、とりあえず行こうか?」
嵐は去ったし、これで落ち着いて廊下を歩けると一夏はホッとした。
その後、更衣室へ連れてきた早々にシャルルは何やらソワソワしている。
「どうしたんだ?」
太智は、そんなシャルルを変な目で見た。
「ちょ、ちょっとね……」
何やら顔を赤くしている。何かあったのだろうか……
「……ごめん、ちょっと僕シャイな性質だから……あっちとか、向いててくれるかな?」
おそらく、彼の家庭は裕福ゆえにこれまで過保護な生活をうけていたのだろう。だから、他の男性と着替えた試しは一度もないのだと思う。
――とんだ、お坊ちゃまだぜ……
静かに太智は溜息をついた。
「なら、仕方ないね? 皆一旦外へ出ようか」
一夏がそう言うと。俺たちは彼が着替え終えるまで外で待ち続けた。
「ああいう子とか居るんだね?」
世の中、変わったものがいるようだと清二は納得した。
「ただ単に、過保護な生活をしてきただけだろ?」
と、気に入らないような顔で太智が言う。
「何だ太智、お前あの子が苦手なのか?」
先ほどから、太智は何やら不機嫌な表情を取っていることに清二が気付いた。
「いや……さっきから何だか女々しいような仕草が目立つからな、何となく怪しいんだ?」
「そういうもんか……?」
俺は、あんまり違和感は無いように思える。というよりもただ無意識に接しているだけか
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