第十一話「オー・シャンゼリゼ」
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ようなものを聴覚が感じ取った。
「……?」
「狼もどうしたんだ?」
清二が俺に聞く。
「いや……なんだか、空耳っぽいようなモンが聞こえてさ?」
「空耳? どういう?」
暇つぶしに太智が尋ねた。
「なんか……女の悲鳴みたいな? それも複数」
「更衣室にデカいゴキブリでも出たか?」
適当な予想を呟きながら机に頬をくっつける太智は、眠たそうな半目をしていた。彼は空耳よりも先ほど感じた殺意とやらに気を取られている。
「その程度で済めばいいんだけど……」
何せ、ここはIS学園。簡単に言えば若干15,6の少女たちが戦車や戦闘機並みの重火器を手軽に取り扱うような学校だ。どこかのバカな女子が、害虫に驚いてISを展開し、それに搭載された重火器で駆除しようとかいう大それたことをするかもしれないのだ。
「ホームルームを始める! 席につけ!?」
そこで、千冬が登場して周囲で雑談をしていた生徒たちは一斉に席についた。
「ケッ……千冬公だ」
太智は嫌な目をして千冬を見て呟いた。
「今日は、皆さんに転校生を紹介しますね?」
千冬に続いて真耶が入ってきた。彼女は相変わらず笑顔で眩しい。
「山田先生、今日も可愛いな……?」
清二は、誰にでも優しく接してくれる山田先生の笑顔に見とれていた。
「それでは、入ってきてください?」
真耶の声に教室から一人の小柄な生徒が入ってきた。金髪を束ねた……男子生徒である。
「転校生のシャルル・デュノアです!」
まるで少女と一瞬間違われるかのような美少年であり、クラス一斉は千冬初登場時と同様の黄色い歓声を広げた。
「キャー! カッコいい!!」
「守ってあげたい系!?」
「で、でも……私には織斑君が……!」
「狼さんよりもカッコいい!」
「あんなの論外よ!」
歓声と共に、俺の低評も混じっている……しかし、話によればこのシャルル・デュノアという奴は男子じゃないか? つまり……一夏以外にも男性操縦者が居たというのことだ。
「……」
しかし、そんな俺の感心な表情とは違って、太智は何やら険しい表情をさせた。
「どうした? 太智」
俺が、険しい目つきでシャルルを見る彼に尋ねた。
「いや……何だか、胡散臭そうに思えてな?」
「胡散臭く?」
「感だよ、感……」
「ふぅん……」
太智の感は結構当たるといわれているが、別に俺はそんなことは気に掛けることなく物珍しさにシャルル・デュノアという二人目の男性操縦者を宥めて。
ホームルームは終わり、早々に一時間目のIS実技講習が始まる。しかし……
「シャルル君! 今日のペア一緒に組まない!?」
「シャルル君は私と組むんだよね!?」
更衣室へ向かう早々に、シャルルは女子たちに囲まれて動けずにいる。まるで、アイドル男子がファンの女子たちに囲まれて路上の通行の妨げ
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