第十一話「オー・シャンゼリゼ」
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りでもしていたという記憶を埋め込ませておいた。
「強引なのは嫌いだけど、別にいっか?」
ラルフは、そう呟いて気を取り直し正門を潜っていった。
「えっと……時間は?」
腕時計に目を通して現時刻を確かめる。今の時間はもうすぐ九時頃、ちょうどホームルームが始まるときか? ……え!? 九時!?
「今日、転校生が来るって言うから……げ! じゃあもうすぐじゃん!?」
任務の内容では、自分はもう一人の転校生として一年一組へ向かう予定であるが、時差ボケとかで途中仮眠をとってしまったために時間にロスが出てしまった。
彼は、慌てて敷地内を駆け走って校舎へと急ごうとする。
――ああもう! 俺としたことが、どうしていつも要領が悪いのかな!?
自分の短所を恨みながら、彼は息を切らして噴水とホログラムが映る正面玄関へ向かおうとする。
しかし、そんな彼の背後から呼びかける何者かの声がした。
「待ちなさい!?」
「え……!?」
振り返ると、そこには数人の女性警備員が追いかけてくる。
「先ほど門番の者が気絶していましたが……彼女に何をしたんですか!?」
運悪く見られていたのか? ラルフは深々とため息をつくと、人が変わったかのような表情へと豹変すると、彼女たちをにらみつけた。
「チッ……見られちまったか?」
「投降しなさい!」
そんな彼の変わり様に警戒した警備員らは一斉にISを展開かせて彼へ警棒を向ける。
「あーあー……こっちたぁ急いでるのに、僕の邪魔すんなら……」
刹那、警備員が纏うISの一体が突然強制解除された。解除された機体のパイロットの腹部へラルフが自らのRSで打撃を与えたのだ。それも、一瞬の合間にである。
「殺しちゃうよ?」
傍で倒れて苦しみだす同機を目に警備員らは動揺し、一斉がラルフを見た。
「い、一瞬の間に……!?」
「生身でISを倒したというの!?」
「へぇ〜……表じゃ、RSはISってことになってんだ? ちょっとイメージ難しいけど、それでも怪しまれないだけいいか?」
どうせ、男性専用ISとかいう理由だろう。
「まさか……コイツ、男性操縦者!?」
「あ、ありえない……これ以上、『男』がISを動かせるなんてこと!」
しかし、ラルフはそんな混乱する警備員らの動揺の間も許さずに突っ込んでくる。
「そいつはどうも!!」
そして、「女」数名による甲高い悲鳴が施設内に響いたが、幸いこの場を目撃していた者は一人もいなかった。
「……!?」
教室の席に座る太智は、急に背筋を振るわせた。
「どうした?」
そんな彼に清二が尋ねる。
「な、何だか……どこからか妙な殺意を感じる」
「よしてくれよ? お前の良からぬ予言は大抵コトダマになって戻ってくるんだから……」
そう、苦笑いしながら清二が言うと、彼の隣に立つ俺は何やら空耳の
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