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野獣
15部分:第十五章
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音がした。あの巨大なムングワの像が落ちたのであろうか。
 炎は僕達を追うように上に登ってきた。僕達はそれから逃れるようにして家を脱出した。
 最後に家を出たのは僕だった。そのすぐ後ろで炎が燃え盛る音がした。
「終わったな」
 僕は振り返った。見れば家は全て紅蓮の焔に包まれている。
 炎は全てを焼き尽くさんとしていた。家は瞬く間に焼け落ちすぐに炭の山となった。
「これでムングワも死にましたね」
 僕はその炭の山を見ながらガイドや医者に言った。見れば炭にはまだ火がついている。
「ええ。意外な事実でしたけれどね」
 医者はその焼け落ちた家を見ながら呟くようにして言った。
「まさか人が変身していたなんて」
「アフリカにもあったんですね、人が獣に変身するのは」
 この時僕の念頭にはヨーロッパの狼男があった。
「アフリカにもこうした話はありますよ」
 館員はそんな僕に対して言った。

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