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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第40話:誑し・誑させ・誑させず
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、俺の言付けをちゃんと伝えなかったのか!?』
と些か憤慨。

「僕は君が言う程の馬鹿息子じゃないから、君からの言付けはちゃんと伝えたよ。でも、あの馬鹿親父は理解しないんだよ。解るだろう、君なら」
『なるほど……失礼しました真面目息子さん。では改めて馬鹿親父に代わって下さい』
そして、またリュカ様に託されるMH(マジックフォン)

『おい馬鹿親父。早く帰ってこい馬鹿。然もないと、お前の行動を奥方に密告(ちく)るぞ!』
「ふざけんなアホ。ビアンカにも参加して貰うんだから、お前が温泉までエスコートしてこい! 無礼は許さんぞアホ」

『テメーが帰ってこい馬鹿! そして仕事を片付けろ馬鹿! それから温泉にでも、風俗にでも行け馬鹿!』
基本的に言いたい事を言うウルフ。だからリュカ様にも信頼されてるんだろうが……良い気分ではない。

「フェルマー……こんな大人にはなるなよ。悪い大人の見本だからな」
最も悪い大人の見本が、純真無垢な少年を使って駄々をこねる。
それが良い大人だと思ってるのですか、リュカ様?

『それがフレイの彼氏か?』
「そうだ。お前と違って良い子だぞ!」
リュカ様とも違って……ね。

『よし、フェルマーと言ったな少年』
「は、はい。初めまして……お、俺……フレイと『そう言うの良いから聞け!』
新たな大人の登場に緊張した感じで挨拶してたフェルマー君だが、それを遮り何か続けるウルフ。

『今すぐ、そのオッサンに抱き付いて“パパ! 皆の為にお仕事を頑張って下さい。僕の望みはパパが頑張ってお仕事する事ですぅ”って言え! ほれ、言え!』
「えぇ!? い、いきなり……そ、そんな……だって……」

『何だ……結局お前もフレイの身体だけが目当てなんだろ! だから未来を確定するが台詞を、皆の前で言えないでいる。おいフレイ、この男は止めた方がいいぞ』
リュカ様が偶に嫌いな貴族相手にする心底腹立つ口調を、この若造は見事に真似する。

「ち、違いますよ! 俺はフレイを愛してます!」
『ふん、如何だか……』
「い、言いますよ! 貴方の言う通りの台詞を言いますよ!」
『無理しなくて良いぞ……俺も他人の人生設計を壊したくないし』

まるでリュカ様を“パパ”と呼ぶ事が、フェルマー君の人生を台無しにするかの様なウルフの台詞。
「くっ……パパ! 皆の為にお仕事を頑張って下さい。僕の望みはパパが頑張ってお仕事する事です!」
ムキになったフェルマー君は、強い口調で先程ウルフが言った台詞をリュカ様に抱き付いて繰り返す。

「よ〜し、パパ頑張って仕事してくるよぉ! なんせ僕は君のパパだからね!」
『よし、よくぞ言った若人! ようこそ我が家へ……俺と一緒に苦労しような(笑)』
さっきまでMH(マジックフォン)
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