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野獣
13部分:第十三章
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だ。
「ええ、ここにもないかな」
 ガイドも館員も化粧鏡や服を調べている。だが結局何も見つからない。
「ベッドには結局何もないな」
 懐中電灯を使って調べたが結局何も見つからなかった。今度はその下を調べた。
「ここにもないかな」
 僕はその下にも光を当てた。やはり何もなかった。かに見えた。
「ん!?」
 少し色が違う部分があった。
「床の色が違うのか?」
 僕は最初はそれを単に貼りかえるありしたものだと思った。だが違うようだ。
 ベッドをどかしてよく見ることにした。すると四角くその部分だけ色が異なっていた。
「どう思いますか?」
 僕は他の三人をその場に集めて問うた。
「そうですね」
 医者はその部分を手でコンコンと叩いていた。
「だが一つ聞きたい」
 僕は問うた。
「何故貴様等はここにいる?貴様等の故郷はサバンナではないのか」
「知れたこと。ここにも仇がいたのだ」
「こんなところにも!?」
「そうだ、奴隷として売られる筈であった者達がな」
「奴隷・・・・・・」
 それを聞いてガイドも医者も館員も顔色を暗くさせた。
 かってアフリカ西海岸は黄金海岸と呼ばれていた。それは何故か。奴隷貿易で潤っていたからである。
 アフリカは長い間奴隷の供給地であった。多くの黒人達が奴隷として集められ売られた。アフリカ系アメリカ人達もその祖先は奴隷であった。彼等の多くは抗争により敗れ勝者に売られた者達だ。アフリカは決して一つの血で支配されていたわけではなかった。
「だが彼等に罪はないだろうに」
「そうだ、彼等が君達に何をしたというのだ!?」
 僕達は反論した。幾ら何でも奴隷としてここまで連れて来られていた者達の子孫に罪があるとは思えない。
「それは貴方達にはわからないことだ」
 彼女は言った。
「血の報復は永遠に続くものなのだ」
「血の報復か」
 僕はそうした考えはあまり好きではない。あからあえて皮肉を言うことにした。
「では何故僕達を襲った」
 最初の襲撃のことを問い詰めた。
「それは決まっている」
 彼女は落ち着いて言い返した。
「私達のことを嗅ぎ回っていたからだ」
「確かに」
 僕もムングワに興味をもちここまで来た。それを否定するつもりはない。
「復讐を完全に終わらせる為に。邪魔立ては許さん」
「・・・・・・そうか」
 ここまでくると最早狂気である。どうやら殺戮そのものを目的とするカルト教団ではなかったが考えようによってはそれよりも性質が悪いかも知れない。
「そして偉大なるムングワに傷をつけたその罪は重い」
「襲われて反撃するのは当然だと思うが」
「ムングワの手により死ぬ。この上ない名誉だとは思わないのか」
「全く」
 正直狂ってると思った。そんなもの有り難いと思う人間がいるの
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