暁 〜小説投稿サイト〜
野獣
11部分:第十一章
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
てガイドに襲い掛かって来た。
「クソッ、離せっ!」
 ムングワは爪で引き裂こうとする。しかしガイドは銃でそれを防ぐ。
「させるかっ!」
 そこへ館員が蹴りを入れた。靴の先端で奴の顔に蹴りを入れる。
 これはかなり効いた筈だ。奴は後ろに跳び退いた。
「大丈夫ですか!?」
 医者と館員が前に出る。僕はガイドに駆け寄った。
「ええ、何とか。攻撃は受けませんでしたし」
 どうやら無事だったようである。とりあえずはホッとした。
 だが前にはまだ奴がいる。牙と爪を剥き出し僕達に襲い掛かろうとしている。
 医者が発砲した。だがそれを壁を三角に跳びかわす。恐ろしい運動神経である。
 そして僕達の背に来た。慌てて後ろを振り返る。
「何て身のこなしだ・・・・・・」
 流石にこれには困惑させられる。どうやらこの場所は奴にとっては格好の狩場らしい。
 だが退くわけにもいかない。ここで遭ったが最後何とか始末しておきたかった。
 それは容易なことではない。下手をしたら僕達全員奴の餌食とされてしまうだろう。背筋に冷たいものが流れた。
「気をつけて下さいよ」
 医者は奴から目を離すことなく僕達に言った。
「軍用犬でもここまでの動きをするのはいませんよ」
「ええ、ライオンや豹でもここまでの奴はいませんね」
 館員も言った。それは真実だろう。何よりも奴から感じられる気がそれを教えていた。
 奴はとりわけガイドを睨んでいた。見れば後頭部の傷がまだ残っている。そのことを恨んでいるのだ。
「糞っ、さっさと死ねばいいのにな」
 彼はそれを見て忌々しげに呟いた。
「俺はまだまだ楽しみたいってのによ」
 そう言うと銃を撃った。だがそれはかわされた。
 ムングワは上を三角跳びの要領で跳んでいく。そして建物に上に消えた。
「来ますよ」
 館員は上を見上げながら言った。僕達は身構えた。
 何時来るか、それが問題であった。おそらく奴は建物の上から僕達の隙を窺っているのだ。
 喉が鳴った。唾を飲み干す音が聞こえる。
 来た。やはり上からだ。
 牙と爪を剥き出しにして降りて来た。まっすぐに僕達を睨んでいる。
「クッ!」
 皆銃を乱射する。だが当たらない。
 僕も身構えた。やらなければこちらがやられる。
 僕はこの時はじめて引き金を引いた。そして銃が火を噴いた。
 凄まじい反動だった。思わずその場に倒れた。
 銃弾は散らばり奴に襲い掛かった。そしてその全身を傷つける。
「グオオオオオ・・・・・・」
 奴は無様に地に落ちた。全身から血を噴き出している。
 だが立ち上がった。そして形勢不利と見たか踵を返した。
「クッ、待て!」
 僕達はそれを追って撃った。だがそれは当たらず奴は路の中に消えていった。
「しまった、逃げられたか」
 僕
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ