10部分:第十章
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「僕が嫌いなのはそういう理由じゃないんですよね」
僕はいささか顔を歪めて言った。
「じゃあどうしてですか?」
「いや、親戚に警官がいるんですけれどね。これがまたえらく真面目な人物でして」
「いいじゃないですか、警官は真面目なのに限ります」
「あまり度が過ぎると。正直あまりにも口うるさくて困っているのです」
何しろ常にガミガミ怒っているのである。朝早くから素振りをするのはいいがそれを家族にも強制する。僕も彼の家にいる時には必ずやらされる。僕はあまり剣道は好きではなくどちらかというとテニスやバスケが好きなのだが。
「それはまた」
「そんな人がいたら迷惑でしょう?酒も煙草も女も駄目だというのですから」
「・・・・・・一体その人は何が面白くて生きているのですか?」
ガイドは不思議そうな顔をして僕に尋ねてきた。
「何でも正義を守ることだとか。一歩間違えなくても正義の味方です」
「そんな人が本当にいるんですね」
「身近に持つと大変ですけれどね」
これは全くの本音である。本人に悪気は全くないのだから手の施しようがない。最悪である。
何はともあれ捜査への協力だ。昼は事故現場の調査である。これはあまり問題がなかった。 問題なのは夜である。ムングワの捜索である。
「僕達のグループは四人ですか」
僕とガイド、医者、そして引っ張って来られた博物館員である。
「こうして見るとチグハグなメンバーだなあ」
どう考えても戦える顔触れではない。ガイドは銃は得意なようであるが勇敢ではない。僕にしろはっきり言って何の戦力にもなりはしない。しかも医者と博物館員である。囮かと思った。
「実は私は密猟者の取り締まりをやっていたのですが」
館員がここで言った。
「え!?」
これには僕もガイドも驚いた。
「あの、密猟者の取り締まりといいますと」
日本にいるある作家もそれをやっていたという。かなりの体力及び格闘能力がないと務まるものではない。
「ですからある程度は戦えるつもりです」
「そうですか、それは有り難い」
これは本心からそう思った。こうした人がいると心強い。
「お医者さんはどうなのですか?」
「私ですか?一応以前軍にいたことがありますが」
これもよくあることだ。軍医出身である。
「では銃の使い方とかは」
「はい、心得ておりますよ。それに警察におりますし」
「では貴方も大丈夫ですね」
「少なくとも自分の身位は守りますので」
では心配なのは僕だけとなるわけだ。とりあえず拳銃の扱い方は覚えたが。
「散弾銃お貸ししましょうか?」
ガイドが僕に言ってきた。
「お願いします」
僕はこの勧めを受け取った。正直自分の身だけは守りたかった。他の人に迷惑をかけるわけにはいかない。
僕達は夜の街に出た。そし
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