7部分:第七章
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第七章
竪琴の騎士はウィーンから真っ直ぐ上に向かっていました。そこはチューリンゲンと言われる地方で緑の森に包まれたとても奇麗で静かな場所である。ここは彼の生まれ故郷でもあります。
生まれ故郷に入って暫くすると。森の泉の方から何か楽しげな声が聞こえてきます。
「あれは一体」
「丘の上で」
「泉の中で」
明るい男女の声です。琴の騎士はそれを聞いてまずは首を傾げました。
「何かあるのだろうか」
そう思って声がする方に向かいます。するとそこにいたのは裸の男女達でした。彼等はそこで酒や果物を楽しみながら抱き合ったり追いかけあったりしていたのです。それは何とも言えない恥ずかしく罪深い光景に騎士には思えました。
「これは一体」
「さあ皆」
「この世で最も素晴らしい遊びを楽しみましょう」
「この世で最も」
騎士はその言葉に眉を動かしました。
「まさかここに」
「貴方もここに来られたのですね」
後ろから声が聞こえました。振り返るとそこには黒く波打つ髪と艶やかな美貌を持つ黒い瞳の女がいました。はしたない淡い紅のドレスを着てそこにいます。
「琴の騎士よ」
「貴女は一体」
「私はヴェーヌス」
妖しい笑みで答えます。
「それが私の名前です」
「では貴女は愛の女神」
彼はそれを聞いて彼女が誰かすぐにわかりました。
「そうなのですね」
「俗にそうも言われています」
妖しい笑みのまま彼に答えます。
「そうですか。それでは」
「何でしょうか」
「貴女に御聞きしたいことがあります」
彼女の前に片膝をついて言うのでした。
「それは何でしょうか」
「ここにこの世で最も素晴らしい遊びがあると聞きました」
先程の娘達の言葉を述べます。今も泉の中やそのほとりで男女が遊び回っています。
「それは一体何でしょうか。そして」
「そして」
「ここにもあるのでしょうか」
それを女神に尋ねます。
「どうなのでしょうか」
「あるかも知れません」
それに対する女神の返事は実に奇妙なものでありました。
「同時にないかも知れません」
「ではどちらなのですか?」
騎士は怪訝な顔で女神に尋ねます。
「それでは何もかもが」
「一度ここから暫く北に行ったところにある城に行きなさい」
女神を顔を上げて自分に問う彼にそう言いました。
「宜しいですね」
「北にですか」
「そうです」
そしてまた言うのでした。
「北にです。いいですね」
「わかりました。ではまずは一旦そちらに向かいます」
すくっと立ち上がって女神に答えます。
「そこにあるのでしょうか」
「私が言うことは変わりません」
女神の言葉は相変わらずでした。
「あるとも言えますしないとも言えます」
「そうですか」
「貴方がここ
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