第十九話・皇帝の薔薇園
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てから【天使の羽衣】と【鋼糸鏖陣】、【漆黒爆弾】まで合わせて対処する。
しかしロザリンドもロザリンドで、一応向きを考えて放たれたかギリギリ俺達の傍を通りすぎ―――直後、背後で雷鳴が響き空気と共に俺達を振わせる。
思わず楓子を放してしまい、隠れきれていないことから走り続けていた事と、襲い来る衝撃波もあって彼女は転げ回る。
もしマリスに直撃して居たら―――冗談じゃあねぇ……! 冷や汗掻いたぞ……雷雨の日に間近へ雷が落ちたような気分だ……!
「……手加減した?」
「勿論。後ろの二人ごと討ちたくは無かったのでね」
「おい、さっき全力とか言ってたろうが」
「…………フ、流石に手強いな殺戮の天使マリシエル。ボクの四割を防いで見せるとは」
……また無視しやがった。
途中途中で都合悪くなるなら、見越して最初から口にするな……。
だが、同時に雷光が暴れ狂い、目を焼かんばかり名眩さを誇る “アレ” で手加減したのだという事実に、戦慄もしてしまう。
……あれで四割なら、二倍の八割や十割は一体どれほどの……?
「其処までの手腕を誇りし猛者は、ボクの前世に置いても数えるほどしか居なかったよ。称賛に値するだろうね」
前世。その言葉で俺は違和感を覚えた。
同人誌を知っていたりやたらと格好つけたがる節から、現代人かもしれないと俺は思っているのだが……しかしそれは飽くまで俺の推測。
もしかすると、ただ現代の技術や娯楽に興味をもった、数百年前の人物と言う事も、あながちあり得なくもない。
つーか……そもそもこいつの“元” の性別は男なのか?
それとも武に長けた女なのだろうか?
「マリス。あいつは戦国時代やら中世から生きていたのか?」
「……彼女は普通の女子高校生。演劇部だった」
「なら戦闘経験皆無じゃねえかよ。凌ぐもクソもねえし」
真顔でツッコンだ。
何でロザリンドは嘘をついた?
ハッタリをする意味も無いし、ただ本格的に自分に酔ってるだけか?
……面倒臭いのがとり付いたなぁ、オイ
同時に身ぶり手ぶりが自然で、中々堂に入っていた理由も分かった。
演劇部だったからか。
良く思い返せば動作そのものは綺麗でも、術と術の繋ぎ目とか不自然だったな。
……【A.G.N】のスペックでも誤魔化せない技巧ってのがあるみたいだ。
「……だから普通の町育ち……そして、本名は木村玉子」
「その田舎くさい名前でボクを呼ぶんじゃなああぁいっ!!!」
どうも自分の名前が好きじゃあ無いらしい。
ウザいまでにノリノリだった真相も、ここで分かった。
自分嫌いなら、そりゃあ今の方が良いかもしれないが……。
「よ、よかろう……其処まで
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