第十九話・皇帝の薔薇園
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そのあたり暇自体は有るのかもしれない。
認めたくはないが。
兎に角それは置いておき―――【剣聖の領域】の効果は分かった。だから “対処できる” 属性も理解したものの、読みに『アウェイクン “ワン” 』と付いていた事が気になった。
アウェイクン ワンを翻訳し、意訳すれば『一つ目の目覚め』と解釈できる。そのため、第二は確実にあると考えていいだろう。
第三やら第四の存在も否定できない……あの馬鹿なら設定書く際、何も考えずやらかしそうだし。
最悪の場合、『第五のホニャララ』とか、余計に付け加えていそうだ。
主人公の設定も盛りすぎだったので、ラスボス設定であるロザリンドもそうである可能性が、自分でも嫌になるぐらい頑なに否定できない。
せめて “第二” までで、是非とも止めておいて欲しい物だが……。
「では、全力で参る!」
数メートル以上空いた間合いはそのままに、此処で初めて大剣を左右の手でしっかり支え、嫌にゆっくりと肩に担ぐ。
「逃げるぞ、馬鹿」
「やだもん! こんな超常異能バトルを間近でなんて、何時見られるかわから―――むぐぐぐぐ」
「 “我が宝剣 力に満ちよ―――」
勿論このキチガイ言動も予想済み。
即座に抱えて口を押さえ、車の影へと走り寄る。
隠れるまであと数メートルか……そう考えたと同時に、急に走れなくなった。
何が起こった!? ……ってコイツ……!
「てめっ……鉄塊から手を離せ!」
「やだやだやだ! 此処に居るーっ!」
原因はなんと楓子のわがまま。
逃げ切れずマリスの後ろからもあまり遠ざかれず……しかし背後から響く、凛々しくも恐ろしい声音。
「――――宿せ雷霆……!” 」
突如として四方八方へ吹き荒れる突風がまたも唐突にピタリとやみ、微かな雷鳴が轟く。
黒雲を這う稲妻の如く、剣に紫電が夥しいまでにまとわりつく。
まるでそれは、雷が剣状に凝固したかの様だ。
「見事僕の剣を受け止められたのならば……殺戮の天使よ、君にとて天位の称号が似合うであろう」
「……そんなものいらない」
この場の状況に酔うロザリンドと、平常通りのマリシエルによる、緊張感漂う軽いやり取りの後……
「喰らうがいい―――我が右手に【烈光の剣】!!」
遂に―――迸る雷撃が撃ち放たれた。
その威力は、速度は、まさに驚異。
その速さは雷速とまでは行かずとも、思考から回避までの時間など容易に奪うとも思えてしまう。
「……く……っ!」
「うにああああっ!」
マリスは後ろに俺達が居るために、オーバーアクションで完全に避けるという選択肢が取れず、僅かに軸を変え
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