32部分:第三十二章
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第三十二章
カーテンの中に入るとそこには。一人の美女が寝ていました。
「この方は」
豊かな金髪をまるで床のようにして絵画から出たような麗しい美貌をそこに見せています。胸には鎧を着け兜と槍、盾がそこの横に置かれていますそのどれもが黄金色に輝いています。スカートは長く白いものです。兜の白い羽根がとても印象的です。
「この方は」
騎士はその女性を見て誰なのかと思いました。
「何故ここに。いや」
ここで小鳥達の言葉を思い出します。
「そうか。まさかこの人が」
小鳥達の言っていた宝物ではないのか。そう思ったのです。その中でまた悟りました。それではこの世で最も大切なものとは。
「まさか」
騎士は一人考え呟きます。
「それは」
考えます。そうして考えている間にも美女を見ます。騎士が今まで見たこともないような美しさです。見れば見る程魅せられていきます。
「あの」
そっと近寄り美女に声をかけますが。返事はありません。
「目覚められよ」
こう声をかけても同じです。やはり美女は目を開きません。騎士はそんな彼女を見ているともう胸が張り裂けそうになりました。そうして遂に彼女の両肩に手をやったのです。
「起きられないのですか?」
やはり返事はありません。
「起きられないのなら。私はどうすれば」
頭ではこう考えていました。ですが身体が自然に動きました。そうして彼が取った行動といえば。
キスでした。無意識のうちに自分の唇と美女の唇を重ね合わせたのです。そうすると異変が起こりました。
「あっ」
騎士は見ました。美女の目が開いたのを。
「目覚められたのですね」
「貴方は」
「私の名ですか」
美女がゆっくりと口を開いたのを見て彼も声をあげます。
「私の名はですね」
「はい」
「ジークフリートといいます」
戸惑いながらも自らの名を名乗りました。その間ずっと彼女の両肩を抱いたままです。
「ジークフリート様ですか」
「人は私を竜の騎士と呼びます」
礼儀正しい動作でそう名乗りました。
「竜を倒したことにより」
「何処の竜をですか?」
「下の森にいた竜をです」
正直に答えます。彼は正直な人間であり嘘はつけないのです。ですから名も知らない美女に対しても厳かにそう答えました。
「私が倒しました」
「そうですか。貴方が」
美女は彼が竜を倒したと聞いて微笑みました。気品があり、それでいて強さの感じられる不思議な笑みです。
「よかったです。貴方のような方で」
「私で、ですか」
「ええ」
その笑みでまた彼に言います。
「貴方ならば私は」
「私は?」
「ずっと一緒にいたいです」
「あの」
話がわからない騎士は戸惑った顔で彼女に問い掛けます。
「何が何なのかわからないので
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