10話 仮面の下の微笑 11.19
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載っていた。
「ビスト財団か・・・」
企業からの献金や出資を拒まないスタンスでいたギレンは一つ一つの研究費用にしても現場レベルでその出資者が居れば、ギレンの審査なく許可を出していた。戦争状態である以上、不可解な点などこの際取るに値しないと踏んでいた。
ビスト財団は噂でしかないが世界の影の支配者とも呼ばれている。全ての企業はビストに通ずると比喩されるほど影響力を内外に及ぼすが、その実態が掴めない。連邦もその存在に手出しできず一目置いているとギレンは知っていた。
要するに胡散臭い財団だが、無尽蔵な資金力がある。その投資幅は超法規的まで及ぶことが可能だということだ。
ギレンは再び深く考えた。記憶の中で今までビストの名前が思い当たらなかった。各一般的な企業名はよく目にしていたが、ビストが直接的に名前で出てきたのは初めてであった。これを意味することはこの研究がビストにとっても重要視しているということだ。
「つまり、この研究の成果は世界を震撼させることが保証付きということかな。そんな技術が我が軍に採用されれば私の計画の実現も早まるということだが・・・」
ギレンは一瞬ためらったが決済印をした。何故ならビストの思惑が読み切れなかったからだった。読み切れないからと言えみすみすの機会を逃すほどジオンには余裕はなかった。
起きたときの対処は後にしよう。何が起きるか、規模までは想像するにも予想だにもできないため、考えるだけあまりに無駄だと思った。
グラナダ市 ジオン基地内 キシリア執務室 11.20 14:00
キシリアは昨日のフラナガン機関の開発稟議決裁の返答により、既に開発に着手。フラナガン博士より以前から研究機関での調整中であったマリオン・ウェルチとクスコ・アルについての報告が挙がっていた。
自身の執務室で来客としてある女性がいた。アナハイム社長夫人のマーサ・ビスト・カーバインであった。
今回の開発稟議に名を連ねた共同出資研究者として法人登録したのも彼女であった。
マーサはキシリアに先の開発議案についての結果を求めていた。
「ところで、いかがでしたか?サイ・コミュニケーターとサイコフレームの件は」
「稟議が通った。既に博士には開発を進めてもらっている」
キシリアは手元のティーカップに入った紅茶に一口つけた。
「サイ・コミュニケーターについては明日試作が仕上がり成果次第で2日後モビルスーツへ実装する予定だ」
「それは対応が早いですね」
「サイコフレームに関してはそちらからの材料提供待ちだが・・・」
「キシリア様。既に兄カーディアスより試作のコア・プロセッサーが本日中にでもフラナガン機関に届くよう手配済みです」
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