原作開始前
EP.3 ギルド加入、しかし……
[9/9]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
オーレでは星族が活動する事も無かった事と、闇ギルド、ゼレフの狂信者による子供狩り、そしてバラム同盟――星族以外にも魔法界が対処しなければいけない問題は多かったため、その名を口にする事も無くなっていった。
流れる時間で記憶は風化していき、人々から星族の存在が消えようとしていたその矢先に、ヤツボシを名乗る少年、ワタルが現れたのだ。
伝聞でしか星族の存在を知らないマカロフはワタルを警戒したが、蓋を開けてみれば孤独におびえる少年でしかなかった。彼の話に引っ掛からない所が無い訳では無かったが、ひと月も行動を共にしていたという少女に接する態度と彼女の治療を懇願した姿を見れば、マカロフにワタルを拒絶する事など出来なかった。
拒絶して孤独に突き落としてしまったが最期、少年の心は孤独に負けて闇に堕ちてしまう――そう感じたから。
まったく、これのどこが悪鬼だ。世間の評判とは程遠いと、1人になったマカロフは胸中で呟くと、クックッ……と愉快そうに笑うのだった。
= = =
「なあ、マスターと何を話したんだ?」
「お前が気にすることじゃないさ」
一方、ギルドを出たワタルたちは、彼がマグノリアで暮らすための借家を探していた。
因みに、エルザはワタルと一緒に住むつもりだったのだが、ワタルの必死の説得によって、不承不承ながらも女子寮に入ることになった。
以下の会話がこれである。
「何故ついてくる? 女子寮があるんじゃなかったのか?」
「別にお前と一緒でもいいだろう?」
「良くない! お前は女の子だろうが。男と一緒に住む、なんて軽々しく口にするんじゃない」
「私は気にしないぞ」
「俺が気にするの!」
エルザのあっけらかんとした言い様にワタルが叱るように言う。
「……ちぇ」
「ちぇ、じゃない。まったく……いいな?」
「分かったよ。なら、家探しは私も一緒にするからな」
「……まあ、それぐらいならいいだろ」
まあ、そんなこんなで二人でマグノリアの不動産を回り、ワタルは家賃9万Jの一軒家で暮らすことになった。
余談だが、その日の夜、ワタルはその家の予備の鍵が一つ無くなっていることに気が付かなかった。
おかげで、この後何日か、朝にエルザの襲撃という名の強制訪問を受けることになったのだが……まあ、そう大した事でもないだろう。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ