原作開始前
EP.3 ギルド加入、しかし……
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の面倒は御免だと、ワタルはやや強引に2人の間に割り込んだ。
「落ち着けエルザ。……グレイ、と言ったか? 悪いな、長旅で疲れてるんだ。勝負は受けるが、明日でもいいか?」
エルザを宥めてからワタルの提案に、グレイはそういう事なら、と言って引き下がった。
「分かったよ……でも、逃げるなよ!」
「誰が逃げるか、この変態が!」
「変態言うな!」
「なんでお前が言うんだ、エルザ……グレイ、逃げないから心配するな」
ワタルはグレイにそう言うと、エルザを再び宥めながら、ギルドから出て行った。
「大丈夫なのか、マスター? あいつは……」
「そうだよ、あいつは星族の末裔だろ?」
ワタルとエルザが出て行ってから、ギルドの大人を代表してマカオとワカバがマカロフに話しかけた。
青い短髪の魔導士、マカオと茶髪にリーゼント、サングラスにタバコといった一昔前の不良スタイルの魔導士、ワカバは、現在の妖精の尻尾の中核をなす存在だ。
そして、彼らの質問はギルド中の大人たちの総意でもあった。先程まで酒を飲んで騒いでいた面々も、神妙な表情で二人とマカロフのやり取りを見ている。
「心配するな。あやつは大丈夫じゃ」
「けどよ……イテッ!」
「心配するなと言っておろうが、このバカタレめ!」
尚も言い寄るワカバに、マカロフは杖で頭を打った。そして、他の大人たちを目線で黙らせると、静かに語り始めた。
「……ワタルの目を見た。穏やかで、優しい目じゃったが、同時に『恐怖』を知っている目じゃった」
「恐怖?」
マカオの疑問に、自分では気付いておらんようじゃがな、と答えたマカロフは言葉を続ける。
「孤独という名の恐怖じゃ。ワシらに受け入れられない事を恐れていたのじゃよ、あやつは……」
だから、こちらが裏切らない限り心配ない。そう言い切ったマカロフに、周りの大人は、マスターがそう言うなら……、と納得して下がった。
一人になったマカロフは思索にふける。
「(まだ、なにかあるようじゃが……嘘を言ったとも思えん)」
マカロフが想うのは先程ワタルが吐き出した心の内。
何かを隠しているのか、それとも何かが隠れているのか――それは分からなかったが、ワタルの心に嘘は無いと、マカロフには約80年生きてきた経験から言い切れる自信があった。
忌み名だろうと隠さず名乗り、自分の事よりもエルザの事を案じた誠実な少年だと感じたのだ。
「(星の一族……か。存外、噂など当てにならないものじゃな)」
星の刺青を持つ者に気を付けろ。奴等は金のためなら殺しをいとわない悪鬼だ。
新聞でその名を見る度に、親は子供に言い聞かせたものだが、それも過去の事。
特に魔導士ギルドの多いフィ
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